テープではなく「仕組み」を売ってシェア7割 ニチバンの「野菜を束ねるテープ」が選ばれ続ける理由(3/4 ページ)
野菜には付かないのに、テープ同士は強く付く――。国内シェア約7割を誇るニチバンの「たばねらテープ」は、どのようにして生まれ、なぜ定着したのか。発売から約50年続くロングセラーの裏側に迫る。
法改正で100回以上試作 ロングセラーを守る難しさ
現在、ニチバンの営業担当が向き合っているのは、拡販よりも「維持し続けること」に近いという。市場に根付いた商品だからこそ、法律や社会環境が変わっても、安定して供給し続ける責任がある。
大きな転機の一つが、食品衛生法への対応だ。2020年の法改正により、食品に接触するテープも容器として扱われるようになり、同等の基準への対応が求められることになった。5年間の移行期間に、同社は原材料や製造方法を見直した。
それまでの粘着剤は、有機溶剤に原料を溶かして塗工し、溶剤を揮発(常温・常圧の環境下で液体が気体になって空気中に発散する現象)させる方法で作られていた。しかし法改正への対応と環境配慮の観点から、無溶剤製法へかじを切った。使用できる原材料は使用が許可されたものに限られるため、自由度は大きく下がる。試作は100バージョンを超えたという。
「これまで使えていた材料が使えなくなり、狭い選択肢の中で、従来の性能を維持しなければならなくなりました」と松村氏は振り返る。平山氏はこの難しさを料理に例え、「これまで使っていた砂糖が使えなくなり、別の材料で味を再現しようとすると、今度は塩の種類も変えなければならない。そうした作業に近かったですね」と説明する。
コスト上昇に伴う値上げも避けられなかったが、業界にとって必要な資材であることから、ユーザーからの理解は得やすかった。なお、同様の対応が難しく、撤退した競合他社もあったという。
さらに、コロナ禍も影響した。衛生意識の高まりから、野菜を袋包装に切り替える取引先もあったが、袋包装は設備投資がかかり、手作業での袋詰めは負担が大きい。作業性や費用面のメリットから、たばねらテープに戻る動きも見られるという。
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