森保監督に学ぶ、「自分より優秀な部下」をまとめるフォロワー型リーダーシップとは(2/3 ページ)
マネジャーは「自分より優秀な部下」をどう導けばいいのか? そのヒントは、森保一監督の戦略的な「フォロワー型リーダーシップ」にある。
なぜ指示待ちにならないのか? 主体性を引き出す力
フォロワー型リーダーシップとは、単に選手に共感し優しく接することではない。組織が掲げる最大の目的――つまり勝利を達成するために、あえてトップが「フォロワー」に回り、現場の力を引き出す高度な手法だ。
複数のメディアが指摘しているように、森保監督の振る舞いは一見腰が低いように見える。しかしそれは、個の能力が突出している選手たちを動かすための、極めて合理的な「戦略的手段」である。自分より優秀な専門性を持つ部下に対して、トップダウンで命令しても心が離れてしまうからだ。
リーダー自らが「徹底的に聴く」。つまり、戦略的にフォロワーシップを発揮することで、メンバーに「自分たちがこの組織を動かしている」という圧倒的な当事者意識が芽生える。現場に主体的なリーダーシップを生み出すトリガーとなるのである。
強みを生かし、仕組みで解決する
森保監督が率いる日本代表の歩みをひも解くと、フォロワー力の強みと弱点が浮き彫りになる。
最大の強みが発揮されたのは2022年カタールW杯におけるドイツ戦だ。ドイツの圧倒的な支配力を前に、前半を1失点で耐えきった。そして後半から3バックへ移行し、冨安健洋、三笘薫、堂安律、浅野拓磨といったタレントを次々と投入。こうした個の力を信じた戦術変更が見事に噛(か)み合い、2-1の逆転勝利を生み出した。
一方で2024年のアジアカップ準々決勝(イラン戦)では、森保監督本人が「交代カードをうまく切れなかったのが敗因」と試合後に認めているように、「介入の難しさ」という課題も浮き彫りになった。
この試合で森保監督は後半に選手交代の手を打ったものの、それが機能せず防戦一方となった。結果として、ピッチの機能不全に対し、ベンチからの有効な修正が遅れたとの指摘を受けた。現場の自律性を重んじるスタイルが、危機的な局面における軌道修正を難しくしたのではないか、という分析もなされている。
同年9月には、元主将の長谷部誠氏をコーチに招聘している。森保監督自身は、長谷部氏による欧州の知見の共有や、選手とのパイプ役を期待しての起用と語るが、見方を変えれば、自らのフォロワー型スタイルを維持しながらも、ベンチ全体の危機察知能力や戦術的インプットを補完したとも解釈できる。
自分のスタイルを無理に変えるのではなく、強みを活かしながら、フォロワースタイルの弱点をチームの再編成という仕組みで補っている。
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