「客・売上の減少」「債務超過」「建物老朽化」 三重苦の老舗百貨店を激変させた“脱・昭和”の生存戦略(2/3 ページ)
かつて「街の顔」として栄華を誇った地方百貨店の苦境が叫ばれて久しい。しかし中には、そうした環境の変化を好機と捉え、新たな価値創出へと舵を切る例も見られる。前編では「佐賀玉屋」の事例を紹介する。
関西の不動産企業とタッグ→どんな変化が?
そこで佐賀玉屋が選んだ道は「外部資本の導入」による再生だった。
2023年に新たなパートナーとして名乗りを上げたのが、関西を拠点とする不動産事業者「さくら」(京都市)だ。両社は2023年12月にスポンサー契約を締結。さくら傘下の新会社を通じて、本館の建て替えを含む再建プロジェクトを推進する方針が決まった。創業家主導の経営からの脱却は、佐賀玉屋にとって大きな転機となった。
さくら主導による本館の建て替え計画において、最大の特徴が「百貨店の複合化・多機能化」を目指すことだ。
商業の中心が郊外に移る中、建て替えだけでは新たな顧客の獲得が難しい。さくらは京都を本拠地としていることもあって、観光客や学生をターゲットとした開発を得意とし、宿泊事業や飲食事業も手掛けている。そこで、建て替えに際して、従来の百貨店にない「不動産業ならではのノウハウ」を取り込み、新たな集客を図ることを決めた。
具体的には、建て替え後の本館は低層階を百貨店である佐賀玉屋を核とした商業施設としつつ、高層階にはセレモニー・イベントの開催などに対応したシティホテルや飲食店を入居させる複合ビルとして整備。さらに温泉湧出の可能性が確認されたことから、温泉を活用することで観光客の取り込みも狙う計画だ。
2026年時点で、国内の百貨店のうち館内に天然温泉があるのは青森県弘前市の「さくら野百貨店弘前店」、大分県別府市の「トキハ別府店」の2店舗のみ。前者は有料の温浴施設を、後者は無料の足湯を設け、いずれも地元住民・観光客の双方から好評を得ている。佐賀玉屋も「天然温泉が湧く百貨店」となれば、佐賀市中心部の観光の目玉の一つとなることは間違いない。
このように、モノを売るのみではなく、宿泊・飲食・体験などさまざまな機能を組み合わせた「滞在型百貨店」への転換は、地方百貨店再生の新たなモデルを示すものだといえる。
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