「客・売上の減少」「債務超過」「建物老朽化」 三重苦の老舗百貨店を激変させた“脱・昭和”の生存戦略(3/3 ページ)
かつて「街の顔」として栄華を誇った地方百貨店の苦境が叫ばれて久しい。しかし中には、そうした環境の変化を好機と捉え、新たな価値創出へと舵を切る例も見られる。前編では「佐賀玉屋」の事例を紹介する。
「建て替え中」にもさまざまな取り組みを実施
佐賀玉屋の新たな取り組みは、本館の建て替えのみにとどまらない。
建て替え中も営業を続ける既存館「佐賀玉屋南館」に加えて、低層の仮設店舗「佐賀玉屋東別館」を開設。地元銘菓や銘酒を軸とした新たな売場を展開している。さらに、地域連携型の自社コスメブランド「SUMIHADA」を立ち上げ、南館で販売。他にも、地元のグルメ展、鉄道写真展を開催するなど、新たな「地元密着型」「体験型」の施策を積極的に実施している。
中でも、長年閉鎖していた南館屋上を「スカイガーデンたまぞら」として再整備したことは大きな話題を呼んだ。2024年末以降、この屋上では「屋上遊園地」「ビアガーデン」「牡蠣小屋」などさまざまなイベントを開催して、多くの客が訪れている。
佐賀玉屋は、こうした取り組みを「未来の百貨店づくりの実証」だとしている。本館の建て替えを「空白期間」とせず、むしろ顧客や地域社会全体との結び付きを再構築して「地域唯一の百貨店」としての存在感を高めるための「実験期間」として位置付ける戦略が見える。
佐賀玉屋の新本館完成は2028〜2029年ごろを予定している。老朽化、売り上げ減少、債務超過という三重苦を背景に始まった佐賀玉屋の再生プロジェクトは、昭和のままの姿で縮小しつつあった百貨店を、都市機能の一翼を担うような存在へと進化させる大きなチャンスを生むこととなったのだ。
今回取り上げた佐賀玉屋は「老朽化」「郊外化」という差し迫った課題が店舗改革の大きなきっかけとなった。一方で、九州には佐賀玉屋とは全く異なった地域の変化をきっかけに、顧客戦略の再構築に取り組んでいる百貨店がある。果たしてどういった変化が起き、どのように進化を遂げつつあるのかを後編で紹介する。
取材協力:シアノ(早稲田大学ショッピングモール研究会)
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