TSMC誘致で激変する熊本 地元の老舗百貨店が「台湾需要」を取り込んだ、“賢い”戦略とは?(3/3 ページ)
かつて「街の顔」として栄華を誇った地方百貨店の苦境が叫ばれて久しい。しかし中には、そうした環境の変化を好機と捉え、新たな価値創出へと舵を切る例も見られる。後編では「鶴屋百貨店」の事例を紹介する。
地方百貨店「再生」のカギとは?
今回は、前後編で2つの地方百貨店の店舗活性化の動きを追った。
前編で紹介した佐賀玉屋は、郊外店の進出などで窮地に陥っていた古い百貨店に新たな資本を誘致。商業・宿泊・温泉といった多機能を融合させた複合施設への建て替えにより、百貨店の枠組みを超えた「都市機能」としての再生を目指した。
一方、鶴屋百貨店はTSMCの誘致をきっかけに、台湾とのコラボイベントを充足させた。イベントは国際文化交流の場へと発展し、人気コンテンツへと成長しつつある。
両百貨店の店舗改革は、一見すると「ハード」(複合店舗に建て替え)と「ソフト」(催事企画の実施)という対照的なものに映る。しかし、いずれも地域環境の変化が改革のキッカケであり、その変化を受け入れて積極的に対応する姿勢は共通している。
結果として生まれた取り組みは、いずれも百貨店を滞在価値や体験・交流を提供する「コト消費」の場へと進化させている。従来型の「モノ消費」の魅力以外での、新たな来店理由そのものを創出している。
地方百貨店の将来を左右するのは、店舗規模やブランド力だけではない。むしろ重要なのは、地域の変化を受け入れ、地域との関係性を再定義できるかだ。それらを基に自らの事業戦略を柔軟に再構築できれば、地方百貨店は新たな成長を遂げるだろう。
消費の場から、地域社会の変化を映し出すプラットフォームへと進化しつつある両百貨店。その取り組みは、地方都市における商業の将来像を示すものとなりそうだ。
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