「国内では戦わない」 沖縄のそろばん教室が海外に商機を見いだしたワケ(3/4 ページ)
電卓やAIが普及する今、なぜ「そろばん」が再評価されているのか。開校から数年で生徒数200人に成長した沖縄の「むらそろばん」は、英国や豪州、ニュージーランドにも進出。世界市場を見据えた独自戦略を追った。
国外で需要の高まり 独自の展開手法
ニュージーランドやオーストラリアへの参入は、海外で新しい教育トレンドとして「計算力」が注目されつつあることが背景にある。
ニュージーランドではもともと義務教育の基礎が「読み書き」に偏っており、大人たちの計算能力の低さが社会課題となっていた。そのため、直近になって義務教育に計算を組み込む方針転換が行われた。
これを機に現地でそろばんのニーズが生まれ、日本語学校のプログラムと連携する形で、2026年2月にニュージーランドへの進出を果たした。授業料は英国同様、月4回で8800円。今後のフランチャイズ展開を見据え、そろばん未経験の現地講師でも教えられるよう、テキストと連動した指導用動画を作成しているという。
ちなみに、隣国のオーストラリアでも計算力はこれまで重視されてこず、電卓への依存が根強い。しかし、ニュージーランドの動向を踏まえると、いずれオーストラリアでも計算力が見直されるタイミングが来るのではないか、と2人は見ている。
そのオーストラリアでは、2025年11月から教室を運営。勇力氏がワーキングホリデー制度を活用して、同年7月に渡航し、わずか4カ月で教室運営に至った。
きっかけは、沖縄とオーストラリアで2拠点生活を送る、インテリアデザイン会社の社長から「オーストラリアで開校してはどうか」とアドバイスを受けたことだという。
「現在は、現地のすし店で働きながら、定休日の日曜日にそこを間借りして、午前9時からそろばんを教えています。将来的には現地法人を持つために永住権を取得したいと考えています」(勇力氏)
最初の生徒は、すし店のオーナーが開催したヨガイベントで獲得した。そこから口コミで広がっていき、現在は日本人だけでなく、台湾やドイツにルーツを持つ子どもたちも含め、11人の生徒を集めるまでに成長している。授業料は月4回で100豪ドル(約1万1000円。6月25日時点の1豪ドル=111円で計算)。現地の物価水準を踏まえた価格設定としている。
とはいえ、オーストラリア国内でのそろばんの認知度はまだまだ低い。勇力氏はそろばんに興味を持ってもらえるよう、現地のイベントに参加し、日本から持参した巨大なそろばんを背負い、沖縄の歌を歌いながら計算するという独自のパフォーマンスを披露するなどしているという。
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