外食産業が“1000円の壁”で苦戦してるのに、なぜ「丸亀製麺」は勝ち続けるのか 唯一無二のチェーンに成長できたワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
うどん業界にとどまらず、外食全般で見ても圧倒的な存在感を発揮している丸亀製麺。なぜ同チェーンは、ここまで消費者からの支持を集め続けているのか。そして一方で、香川県では店舗網を広げられていないのか。
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著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
トリドールホールディングス(HD)の主力業態「丸亀製麺」が好調だ。
同社の2026年3月期連結決算における丸亀製麺の売上収益は約1372億円(前年同期比7.1%増)、事業利益は約220億円(同5.1%増)となった。計画比で見ると売上収益は0.1%増、事業利益は0.7%減であり、ほぼ計画通りの着地だった。今期に入ってからは4月と5月ともに、既存店の売上高、客数、客単価のいずれも前年同月を上回っている。
丸亀製麺はコロナ禍以降、複数回の値上げを実施している。人気の釜揚げうどん(並390円)に天ぷら1〜2品を付けてもまだ1000円を超えない。多くの外食が1食1000円以上になるのも珍しくない中で、節約志向が強まっている消費者から見るとまだ安価であり、選ばれている。
コストパフォーマンスだけでなく、コロナ禍以降は「丸亀うどん弁当」「丸亀シェイクうどん」「丸亀うどーなつ」といった、これまでの常識を打ち破る画期的な新商品を連発していて勢いがある。近年では、店に「麺職人」と呼ばれる社内資格を有する従業員の苗字を掲げ、プロが責任を持って、打ち立てのうどんを提供する姿勢をアピールしている。
丸亀製麺を真似て「○○製麺」「○○製麺所」と名乗るうどん店が一時期は乱立したものの、現在では淘汰されてほとんど見られなくなってしまった。なぜ、丸亀製麺だけが生き残れたのか。
コロナ禍からのV字回復を実現した「うどん弁当」
丸亀製麺の大きな強みは、商品開発力が優れていることだ。
2021年4月に発売した「丸亀うどん弁当」は、これまでに5000万食超を記録している。コロナ禍でのテークアウト需要に応えた商品として、落ち込んでいた業績を立て直すきっかけになった。
そばをはじめとする麺類には出前のイメージもあるが、麺が伸びてしまうという課題があった。そのため、デリバリーの売り上げもそこまで芳しくなかった。コロナ禍で店内飲食する人が減って丸亀製麺もテークアウトに力を入れたが、うどん、つゆ、天ぷらを別々の容器に入れるのは持ち運びが面倒だ。実際、なかなか販売が伸びなかった。
そこで粟田貴也社長の提案で、うどんをコンパクトな一体型の弁当に入れた商品の開発を進めることになった。「のり弁」をヒントに、うどん専門店らしい天ぷらのトッピングを組み合わせ、容器も専用設計で開発。工夫を重ねて、麺とおかずと天ぷらをセットにして盛り付ける仕様で発売した。
これによって丸亀製麺の業績も急回復。2022年3月期の事業利益は前年同期比354.0%増で、前年の落ち込みから大きく戻した。
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