オフィスの複数拠点化で陥る「2つの落とし穴」 総務の「用務員化」を防ぐ仕組みとは?:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
昨今、出社回帰や事業拡大、M&Aなどを背景に、オフィスの在り方を見直す企業が急増している。総務が複数拠点の運用において陥りがちな2つの「落とし穴」を明らかにし、具体的な解決策を解説する。
ITは「人依存」をなくすために導入する
物理的に離れた拠点を管理するためには「人」に依存しない運用ルールと、それを補佐するITツールが不可欠である。まず着手すべきは「現地に行かなくても状況が分かる状態」を作ることだ。
例えば、備品管理や資産管理、施設予約などは全てクラウド型のツールへ集約する。備品・消耗品管理については、スマートマット(重量センサー)などを活用し、残量が減ったら自動で発注される仕組みを構築するのも良い。総務が在庫を確認しに行く手間がゼロになる。
受付・入退室管理は、クラウド型受付システムやスマートロックを導入してみよう。これにより、誰がどの拠点に出入りしているのかを本社から一元管理でき、セキュリティレベルも統一できる。
ルール構築において重要なのは「最低限の統一ルール」と「拠点ごとのローカルルール」の切り分けである。セキュリティ、防災、購買フローといった根幹の部分は厳格に共通化する。一方で、ゴミの分別やリフレッシュスペースの使い方といった日常の運用は、拠点の責任者や有志に一定の裁量を与えてみよう。
全てを本社基準でガチガチに縛ると、現場の不満がたまってしまう。結果として、隠れてルールを破る「地下組織化」を招くリスクがある。
「カルチャーの分断」を防ぐには?
M&Aによる新拠点の開設や、フロアの分散化で深刻化しやすいのが「カルチャーの分断」だ。「本社の人間は現場を分かっていない」「別フロアは雰囲気が暗い」といった相互不信は、心理的距離の離脱から始まる。総務は、この分断を食い止める「全社カルチャーのハブ」にならなければならない。
カルチャー分断の第1歩は「あそこの拠点が何をしているか分からない」という状態から始まる。これを防ぐため、社内コミュニケーションツールに、拠点ごとのチャンネルだけでなく「全社共通の雑談・知見共有チャンネル」を設けてみよう。
また、総務から発信する社内報やアナウンスは、必ず全拠点へ同時に、同じ熱量で届くよう動画やオンライン配信を活用する。本社だけで盛り上がっているイベントの様子をただ共有するのではなく、各拠点を中継でつなぐなど「巻き込み型」の演出が求められる。
さらに、デジタルでのつながりを補強するためリアルな施策も掛け合わせてみよう。例えば、総務メンバー自身が、定期的に別フロアや別拠点で勤務する「定期巡回・サテライト勤務」はその一つだ。現地で直接対話をすることで、テキストコミュニケーションでは見えてこない現場の不満や空気感を察知できる。
あるいは、業務に支障が出ない範囲で、普段とは違う拠点やフロアでの勤務を推奨する、シャッフル出社やクロスオフィス制度を導入するのもおすすめだ。他拠点の状況を知ることで、社員同士の相互理解が深まり、会社全体の連帯感が醸成される。
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