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社員を抱えきれない時代に 早期退職だけが答えではない、「シニア副業」という一手(1/3 ページ)

定年まで社員を抱えきれない時代、早期退職だけが選択肢ではない。シニアの副業を後押しすれば、人材流動化や社外での活躍につながる可能性もある。企業が見直すべき制度設計と支援策を考える。

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 定年まで社員を抱えきれない企業が増えている。早期退職を募集する大企業は後を絶たず、2025年には43社が実施した。筆者はこれまでもITmedia ビジネスオンラインにて、退職一時金の廃止新卒採用の縮小など、日本型雇用の変化を解説してきた。


2025年には上場企業の43社が早期退職を募集した(画像:東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」より)

 その中で今、一つのキーワードとして浮上しているのが「副業」だ。会社が社員を一生抱えきれないのであれば、社員が社外に活路を見いだすのは自然な流れだろう。特にシニア層にとって、副業は定年後のキャリアを左右する重要な選択肢になりつつある。

 ところが、その実態を企業側から見ると、奇妙なねじれが起きていることが分かる。「副業、解禁しています」と答える大企業は増えたが、実際に副業をしている社員はごくわずか、というケースは少なくない。その一方で、会社に申請せずにこっそり副業をする社員も、見えないところに少なからず存在する。

 つまり多くの企業で建前として副業の解禁はするものの、推奨もせず、実態も細かく把握していない。この曖昧(あいまい)な状態は、企業にとってリスクになり得る。

 今回は3000人以上のシニアのセカンドキャリアを支援し、副業マッチングの現場にも関わってきた筆者が、企業はシニアの副業をどう捉え、どのように向き合うべきかについて解説する。

「副業解禁」の裏にある企業の本音

 まず正直なところを言えば、大企業の本音は「社員に副業などしてほしくない」だ。

 経営者やマネジャーの立場で考えれば理由は明確だ。例えば、2人の部下がいて、1人を課長に昇進させるとする。本業に100%の力を注いでいる社員と、本業はそこそこにして副業もしている社員。どちらを選ぶかと言えば、多くの上司は前者を選ぶ。これは自然なことだ。

 「副業で得た経験を本業に生かす」という説明はよく聞くが、上司の本音は「副業をする暇があるなら、本業で結果を出せ」だろう。給料が足りないなら、本業のパフォーマンスを上げて給料を上げればいい――そういう価値観が根強くある。

 実際、ある大手企業では副業を解禁した直後に、社員が副業を申請したところ、上司から「申請を取り下げてくれ」という連絡が水面下で入ったという話を聞いたことがある。会社として却下すれば上司の責任になる。だから「申請を取り下げさせる」という形を取る。巧妙だが、現場の本音が透けて見える事例だ。

 では、なぜ企業は本音では望まない副業を解禁するのか。理由の一つは採用だ。新卒採用の場面で「副業ができる会社かどうか」が学生の企業選びの基準になりつつある。そのため「仕方なく」副業を解禁する。しかし現場の評価制度は何も変わっていない。結果として、副業は「やってもいいが、評価上はマイナスになりかねない」グレーな存在になっている。

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