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「3年8カ月の育休中に資格乱獲」大バズりの裏で起きた炎上 なぜ他人の“完璧な育休”にモヤモヤするのか(2/3 ページ)

この投稿の内容は個別の家庭事情の話であり、そもそも真偽さえ分からない。それでもなぜ、このポストが一部ユーザーの逆鱗に触れて大炎上したのか。その要因の一つに、現代の労働環境が抱える根深い不満と構造的な歪みが潜んでいる。

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育休の“タダ乗り”に見える構図

 批判の中には「育休中に資格乱獲」という投稿も散見された。会社に籍を置き、育児休業給付金を受け取りながら、会社の業務と直接関係のない自己実現に全力投球しているように見える――この構図が、疲弊した現場の目には制度の「フリーライダー」として映るのだろう。

 冷静に見れば、育児休業は育児・介護休業法が定める労働者の法的権利であり、給付金の原資には、本人がこれまで納めてきた雇用保険料も含まれている。

 投稿者の詳しい背景事情は分からないが、3人の乳幼児の自宅保育が「壮絶な労働」であることは言うまでもない。しかしSNSという断片的な情報が集まる空間では、こうした文脈は削ぎ落とされ、「働かずに手当をもらい自己実現する人」というイメージだけが一人歩きする。

 「対価は労働の苦痛と引き換えであるべきだ」という労働倫理の認知バイアスが、他人のポストによって投影される。これがフリーライダー批判を助長する心理的メカニズムだ。

経営側がカバーする事例も

 本来問われるべきは、「人手不足だから仕方ない」という言い訳の下、代替要員の確保も業務量の再設計もせず、精神論で現場を回し続けた企業のマネジメントである。

 厚生労働省は両立支援等助成金に「育休中等業務代替支援コース」を設け、業務を代替する周囲の労働者への手当支給や、代替要員の新規雇用を行った企業に助成する制度を2024年1月から導入している。三井住友海上のように、育休取得者の同僚へ最大10万円の一時金を支給する企業も現れた。

 このように、育休によるしわ寄せ対策はやろうと思えば経営判断で実行可能なのだ。それを怠ることで、現場の怒りの矛先は企業ではなく、育休を取得した個人へ向かう。従業員同士を対立させるこの「分断の罠」は、エンゲージメント低下、離職、そしてマタハラなどの不利益な取り扱いによる法的リスクとして、最終的に企業自身に跳ね返ることになるだろう。

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