「心の不調」増加も……企業のストレスチェック、本音回答わずか35% 形骸化させないための最初の一手(3/3 ページ)
こんなにも「心の不調」による休職が増えているのに……。企業のストレスチェックが、うまく活用されていない。
管理職もまずは「自分のメンタルヘルス」を確認してみる
ストレスチェックの意義は分かっている。しかし、他の業務もある中で手間をかける余裕がない、という会社も多いだろう。ストレスチェック制度の担当者からも、部下のメンタルケアを期待される管理職からも「これ以上やることを増やさないでくれ。自分だってストレス過多なのに、他人のことまで気遣っていられない」と愚痴が聞こえてきそうだ。
そんな担当者や管理職には、まずは自分のメンタルヘルスのためにストレスチェックを活用することを勧めたい。その結果、必要性が認められれば、産業医や上長などに相談することが状況を変えるきっかけになるかもしれない。
自身がそこまで高ストレスな状態になかったとしても、普段の働き方や職場の状況を見直すきっかけにし、ストレスを増やさないための行動を始めてみよう。「仕事で成果を出すにも心身の健康が土台になる」、そのような意識を持って行動することが、他の社員や部下へのメッセージにもなる。
逆に「仕事第一、自分の健康は二の次」という上司のもとでは、部下もセルフケアの意識を持ちづらい。ストレスチェックで高ストレス判定が出ても「相談しても、何もしてもらえないだろう」と諦めの気持ちを持たせることになりかねない。自分の健康を大事にすることが、部下のケアにもつながるのである。
部下のメンタルヘルス不調に直面したら
また、部下にメンタル不調の兆候があったらどうしたら良いのか、という不安を抱える管理職も多いだろう。部下の面談や仕事の調整に時間が取られるし、休職や退職ということになればその穴埋めに奔走しなければならず、休職していた部下が復帰するときのケアも簡単なものではない。
このようなときは一人で抱え込まず、産業医や社外の専門家などと連携するべきだ。
厚労省はメンタルヘルス対策を効果的に進めるために必要なこととして「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」を提唱している。
管理職は「ラインによるケア」を受け持つことが期待されており、そのための一定の知識を備えておく必要がある。
しかし、管理職だけで解決する必要はない。素人判断で間違った行動を取って事態を悪化させるよりも、早めに専門家に頼り、より良い判断を仰ぐことが、メンタル不調に陥った部下のためにも、組織のためにもなるはずだ。
企業としては、社員の健康が経営上の重要課題であることを認識し、4つのケアを実現できる体制や制度づくりを進めるとともに、現場を支える管理職のケアも忘れてはならない。具体的には、メンタルヘルスケアに関する研修、経営からのメッセージの発信やラインケアを支える体制づくりなどが考えられる。ストレスチェックもそれらの取り組みの一つとして位置付けることで、義務としてやらされるものではなく、ツールとしてうまく活用するもの、というマインドを醸成していくことが期待される。
やつづかえり
コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、独立。2013年より組織に所属する個人の新しい働き方、暮らし方の取材を開始。『くらしと仕事』編集長(2016〜2018)。「Yahoo!ニュース エキスパート」オーサー。各種Webメディアで働き方、組織、イノベーションなどをテーマとした記事を執筆中。著書に『本気で社員を幸せにする会社』(2019年、日本実業出版社)。
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