セルフレジが抱える深刻リスク 10万円の万引きで必要な売り上げは?(3/3 ページ)
小売現場でのセルフレジの普及に大きな障害となっているのが「セルフレジ万引き」の急増。それは小売企業だけの問題ではなく、消費者にも負担が及ぶ理不尽な構造を引き起こしている。この解決こそAIの出番だ。
本末転倒な対策からの脱却
この問題に対し、最も効果的なのは「店員による積極的な声掛け」だと言われている。しかし、人件費を抑えるためにセルフレジを導入したのにもかかわらず、監視や声掛けのために店員を配置し続けなければならないのは、まさに本末転倒だ。
そこで中長期的な視点から、「AI」を活用した次の3つを組み合わせた防止策が極めて有望であると小生は考える。
(1)AI画像解析による「不審な動き」の検知
複数のカメラとAI画像解析を組み合わせて、セルフレジ特有の「重ね打ち」や「バーコード隠し」の動きをリアルタイムで捉える(技術的には今すぐにでも実現可能)。
不審な動作を検知した瞬間、その場でAI音声が「読み取りできませんでした。もう一度スキャンしてください」と自動で警告する。または、担当の店員か店長へ通知してスマートな声掛けを促す。
(2)会員限定化による心理的プレッシャー
AIによる監視を前提とした上で、セルフレジの利用を「カード会員(またはアプリ会員)」に限定してレジの開始前に会員コードを読み込ませる仕様にする。セルフレジコーナー内には「セキュリティ向上とスムーズな会計のため、AIカメラが作動中です」といった趣旨の張り紙を掲示する。
これにより、「あなたの身元は把握していますよ」という強い心理的プレッシャー(抑止力)を与えることができる(と同時に一般客にカード会員化を促す)。
(3)常習犯への強い監視の目
上記の仕組みで、それでも平気でセルフレジ万引きを繰り返す「常習犯」は特定できる。次からは常習犯が会員コードを読み込んだ直後に店員がその近くに行き、「スキャナーが調子よくないみたいで、代わりましょうか?」と声掛けする。
これを毎回繰り返せば、確実に「自分は目を付けられている」と意識するので、さすがに犯行を思いとどまるし、店内で逆切れされたりすることもなかろう。いずれセルフレジ万引きの常習犯がいなくなれば(まともな客になるか、他の店に行くか)、声掛け担当の店員もいらなくなるはずだ。
まとめ
技術の進歩によって生まれた運用の穴は、さらなる技術の進歩によって塞ぐべきだ。「セルフレジ万引きはAIで防止せよ」――これこそが、これからの小売業界が目指すべき省力化と防犯を両立させる最適解ではないだろうか。(日沖 博道)
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