“純国産の政府AI”稼働へ NTTらのモデル採用 「先陣を切る」――松本デジ相が語った意欲
デジタル庁の政府AI「源内」で、国産AIモデルと国産クラウドを活用した“純国産の政府AI”が稼働する。松本大臣は「先陣を切る取り組みになる」と述べた。
デジタル庁は7月10日、同庁が展開するガバメントAI「源内」について「国産基盤モデル(大規模言語モデル:LLM)を、国産クラウド上で稼働させる」と発表した。“純国産の政府AI”が産声を上げることになる。
同日の記者会見に立った松本尚デジタル大臣は「国産のみで構成し、動かしていく。デジタル庁としても国産にこだわる、というよりも注力していきたい」と述べた。
源内で試用する3つの国産基盤モデル
源内は、政府職員向けにデジタル庁が開発した生成AIプラットフォームだ。対話型AIチャットに加えて「国会答弁の分析」「法制度の調査」など行政の実務を支援するアプリを実装している。全府省庁の職員約18万人に順次展開し、2027年3月まで大規模実証を行う計画だ。
2026年3月時点で、源内で使えるAIモデルは海外製の4種類――米Anthropicの「Claude Haiku 4.5」「Claude Sonnet 4.6」「Claude Sonnet 4.5」、米Amazonの「Nova 2 Lite」だった。
デジタル庁は同月、源内上で国内企業の基盤モデルを試用することを決定。最終的に5社と契約した。今回、そのうち以下3社のモデルを国産クラウド上で稼働させる。
- NTTデータの「tsuzumi 2」
- 富士通の「Takane 32B」
- Preferred Networks(PFN)の「PLaMo 2.0 Prime」
基盤モデルを動かすクラウドには、さくらインターネットの「さくらのクラウド」を採用する。同サービスは、行政機関向けクラウド環境「ガバメントクラウド」に国内サービスとして唯一登録されたものだ。
NTTデータ、富士通、PFN、さくら――国産サービスの特徴は?
tsuzumi 2は、NTTが一から開発した純国産基盤モデル「tsuzumi」の進化版だ。良質な日本語データを学習しており、日本語性能が向上したという。また、金融・公共・医療の専門知識を重点的に強化している。1基のGPUで動作可能な軽量モデルのため、コストパフォーマンスの面で利点があると同社は説明する。
Takane 32Bは、富士通とカナダ発AIスタートアップCohereが共同開発した基盤モデル「Takane」の中規模版だ。CohereのAIモデル「Command R+」をベースに、富士通が日本語特化LLMの開発で培った知見を生かして日本語能力を強化。AIモデルの軽量化・省電力化を実現する量子化技術などを活用し、1基のGPUで推論処理を実行できるという。
PLaMo 2.0 Primeは、PFNの純国産基盤モデル「PLaMo」の第2世代だ。同社が独自に構築した学習データを用いており、日本語性能の高さが特徴だという。PLaMo 2.0は、経済産業省などによるAI開発支援プロジェクト「GENIAC 第2期」の成果を基に開発した。
これらの基盤モデルを稼働させるさくらのクラウドは、さくらインターネットが2011年に提供を始めた。北海道の石狩市、東京都、大阪府にデータセンターがある国産クラウドサービスで「データ主権を確保できる」「為替の影響を受けない」などの特徴があるという。
高市総理「行政から日本AXを」 松本大臣「先陣を切る」
国産基盤モデルを利用する理由について、デジタル庁は「日本語の語彙(ごい)・表現に適合し、日本の文化・価値観を尊重した国内で開発されたLLMの活用が不可欠」と説明する。
また、行政が積極的に国産AIを使うことで「国産AIの利用を促進・推進し、国産AIの性能向上と安定的な需要の創出」(松本大臣)を加速させる狙いもある。
松本大臣は、政府が7月10日に決定した「AI基本計画(第2期)」に触れて「高市早苗総理からも『日本AX(AIトランスフォーメーション)を進めるため、まず行政から始めてほしい』という発言があった。源内における国産AIの利用が、先陣を切る取り組みになる」と語った。
源内における国産基盤モデルの試用は、AIモデル名を伏せた状態で出力結果の“お気に入り度”をユーザーに聞き、モデルを評価・検証する。8月までに実験環境を構築し、9〜11月に実験する計画だ。
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