約1000枠の広告を“たった4人”で管理 受注件数2倍、ビックカメラの広告事業「営業しなくても売れる」DX(4/4 ページ)
ビックカメラの広告事業では、典型的なPM型営業の課題を抱えていた。店舗の看板、街頭ビジョン、店内装飾など約1000の広告枠を、わずか4人のチームで管理・営業しており、案件の進行、それにかかわる確認業務が多岐にわたり、本来時間を割くべき営業活動の時間を確保できていなかったという。
「営業トークがあまり得意ではなかった」
藤島: もともと竹下さんは営業畑のご出身ではないんですよね。
竹下: そうなんです。たまたま広告事業の営業を担当するようになりました。営業トークがあまり得意ではなくて、正直に言うと「引きこもりでやりたかった」くらいです(笑)。
藤島: でも、屋外広告という商材自体には可能性を感じていたんですよね。
竹下: ちゃんとメーカー企業に情報共有できれば売れるな、という実感はずっとありましたね。
藤島: 私はこの話、すごく希望があると思っているんです。営業未経験の方が、ここまでの成果を出している。営業というと「相手を説き伏せる」みたいなイメージを持たれがちなんですが、本来はそれとは違うんですよね。
竹下: 確かに、広告出稿企業の立場で「これがあったら判断しやすいだろうな」と考えて、コンテンツを作ってきた感覚はあります。
藤島: 竹下さんは顧客のことを考えてコツコツとコンテンツを作り込まれていて、それが今効いている。顧客にとって役に立つ情報だから、顧客も自分の時間を使って見に来てくれるんですよね。
竹下: そう言っていただけるとうれしいです。
藤島: 直接会わなくても、ちゃんと気を配ってくれているということは顧客に伝わる。非対面でも、デジタルで営業活動が進んでいる状態は十分に作れるということですね。
最後に今後のアップデート構想についてもお聞かせください。
竹下: openpageには「誰が何を閲覧したか」というデータが蓄積されています。そのデータをAI分析で活用していきたい、というのが今ちょうど進めている話です。メーカー企業ごとの広告出稿サイクルを見越して、その月にどこにアプローチするべきかを、データから引き出していきたいですね。
【まとめ】日本の営業は「PM型営業のデジタル化」で再定義される
世間では「SFA導入=営業DX」と語られがちだ。しかし、SFAは社内向けのデータベースという側面が強く、これだけでは顧客接点そのもののデジタル化には至らないケースも多い。
社内共有のために営業データをいくら残しても、結局のところ顧客に提案を届けて、顧客を動かさなければ、営業システムへの投資は効果が出ないだろう。だからこそ、グローバルではいま、顧客接点そのものをデジタル化する動きが注目を集めている。
日本の営業は、海外で語られるような「数を打つ営業」とは構造が違う。顧客と要件を丁寧にすり合わせ、技術部門や進行管理を巻き込みながら案件を前に進めるPM型営業が大半を占める。
PM活動そのものをデジタル化・効率化したビックカメラ広告営業チームの事例は、多くの日本企業にとって参考になるのではないだろうか。営業生産性が飛躍的に上がれば、少人数で多くの案件に対応でき、少人数で売り上げを立てる体制ができる。人口減少が進む日本において、こうした変化は必然になっていくだろう。
これからの日本企業の営業組織には、この大きな変化への対応が求められている。営業という仕事そのものが、再定義されていくのである。
藤島誓也 株式会社openpage代表取締役
2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙。2024年にはキヤノンマーケティングジャパン株式会社と資本提携を行い、国内大手企業のデジタルセールス戦略推進を支援している。著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)。ITmedia ビジネスオンライン「新時代セールスの教科書」にて連載中。
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