売上の3割を捨てた「下請け町工場」 自社ブランドのコーヒーフィルターが世界80の国・地域で求められる理由(5/5 ページ)
売上の3割を失う覚悟で、OEM中心の事業から自社ブランドへと舵を切った大分県の町工場。社長自らが世界を飛び回り、コーヒーフィルターを世界80の国・地域へ広げた。下請けから脱し、海外でブランドを育てた方法とは。
次の一手は「AIアバター」
下請け町工場から自社ブランド運営へ転換した三洋産業は、今も成長を続けている。国内の主要なコーヒー競技会では、決勝進出者の多くがCAFECの製品を使用するなど、プロのバリスタからも高い評価を得ている。
海外販路も引き続き拡大している。同社にとっての最大市場であるサウジアラビアには、現在月4〜5本の40フィートコンテナ(67.5立方メートル)を出荷している。最近は中東情勢の緊迫化による海路変更から、輸送日数やコストが増加しているものの、注文が途切れることはないという。
取引数は国内外問わず、好調に推移している。その中で、中塚氏は先を見据え、新たな取り組みを進めている。それは、自前のオンライン展示場と、同氏のAIアバターの開発だ。社内にAI専門チームを立ち上げ、実現に向けてプロジェクトを進めているという。
「ネット上に展示会場を作り、そこに自分のアバターを置く。世界のどこからアクセスしても、その国の言葉でCAFECの考え方やコーヒーの淹れ方を説明できるようにしたいです」と、中塚氏は意気込む。
これまで中塚氏は、自ら世界各地へ足を運び、コーヒーは生鮮食品であることや、おいしく淹れるための考え方を伝えてきた。AIアバターは、その役割を置き換えるものではない。時間や距離の制約を超え、より多くの人へ届けるための新たな手段として位置付けている。
下請けで培った技術を、自社ブランドへ生かす。そして、製品だけでなく、その背景にある考え方まで世界へ届ける。三洋産業の歩みは、地方の町工場が価格競争から脱却し、自立したブランドを築くための一つの道筋を示している。
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