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売上の3割を捨てた「下請け町工場」 自社ブランドのコーヒーフィルターが世界80の国・地域で求められる理由(4/5 ページ)

売上の3割を失う覚悟で、OEM中心の事業から自社ブランドへと舵を切った大分県の町工場。社長自らが世界を飛び回り、コーヒーフィルターを世界80の国・地域へ広げた。下請けから脱し、海外でブランドを育てた方法とは。

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大手を断り、小さな代理店と組む理由

 現在、CAFECは世界80以上の国・地域へ販路を広げ、売り上げに占める海外比率は6〜7割に達している。

 その成長を支えてきたのが独自のパートナー戦略だ。各国で代理店は1社だけに絞り、その国でブランドを育てる役割を一任する。大手商社から声がかかっても安易には契約しない。数ある取扱ブランドの一つとして埋もれてしまえば、CAFECの価値は伝わらないと考えるからだ。

 代理店選びでは規模よりも、本気でブランドを売ってくれるかどうかを重視する。取引条件は「工場渡し(売主の工場や倉庫で商品を買い手に引き渡した時点で、それ以降の全ての輸送費用やリスクが買い手側の負担となる取引条件)」「出荷前100%前払い」と厳格だが、その代わり、契約後は徹底して伴走する。

 「任せるのではなく、寄り添う。そんな経営をやってきたから、ここまで世界に広がったのだと思います。私にとって代理店はファミリーなんです」(中塚氏)


サウジアラビアの代理店と。「ファミリー」として寄り添い続ける(画像:三洋産業提供)

 その考え方を象徴するのが、米国の代理店だ。契約当初は、現地の女性が1人で立ち上げた小さな会社だったが、現在は全米にサブディストリビューター(二次代理店)のネットワークを築き、コンテナ単位で商品を仕入れるまでに成長している。ここまで育つのに要した時間は8年。代理店と二人三脚でブランドを育ててきた結果だった。

 「ファミリー」という考え方は、トラブルへの向き合い方にも表れる。

 かつて、ある国の代理店の社員がルールを破り、正規のルート以外からCAFECの商品を仕入れ、現地で安売りする問題が起きた。これは、正規代理店の信頼と利益を損ないかねない行為だった。

 それを知った中塚氏は商品の流通経路を調査し、その国向けの出荷を一時停止した。しかし、契約を打ち切ることはせず、代理店の社長とその社員の間に入り、事態を収めた。本来であれば契約解除で終わらせることもできたが、それでも踏み込んだのは、代理店を単なる販売先ではなく、「家族」と考えているからだ。

 取引停止期間中も代理店は三洋産業を信じて待ち続け、問題解決後は以前にも増して強い信頼関係を築いている。「家族の問題だから、逃げずに筋を通す。だからこそ、向こうも信用してくれます」と中塚氏は語る。

 この姿勢は、原料や部材を供給するサプライヤー(納入業者)との関係にも通じる。中塚氏が長年、社内の購買担当者に言い続けている言葉がある。

 「納入業者に偉そうな物言いは絶対にするな。得意先は星の数ほど見つけることができるけれど、優れた納入業者はなかなか見つかるもんじゃない。うちは納入業者のおかげで、今がある。そのように伝えています」(中塚氏)

 例えば、ペーパーフィルターを製造する際に紙を圧着・裁断する特殊な「ロール」は、国内で製造できる会社が1社しかない。50年以上にわたって付き合いが続いているのも、代えの利かない技術を持つパートナーを大切にしてきたからだ。

 代理店だから大切にするのではない。発注する立場になっても、相手を買い叩かず、ともに価値を生み出す存在として向き合うことを中塚氏は大事にしている。


CAFECの販売網は、世界80以上の国・地域へ展開(画像:筆者撮影)

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