京都・八幡市長の産休取得に賛否 職場で子育て世帯との「分断」がここまで進む、根深い理由:働き方の見取り図(1/3 ページ)
「子持ちさま」「独身税」――子育てを巡る議論では、なぜ分断が生まれるのか。その背景には、少子化だけではない、家族構造や働き方の大きな変化がある。
京都府八幡市の川田翔子市長が、7月20日から産休を取得しています。現職首長としては全国初の事例とされており注目を集めました。反応はさまざまで「応援する」「無責任」といった賛否両論の声が聞こえます。
子育て世帯に対する支援の拡充を巡っては、4月から新たに徴収が開始された「子ども・子育て支援金」を“独身税”と揶揄(やゆ)する声が聞かれます。実際は、子どもがいるか否かにかかわらず負担する仕組みではあるものの、子育て世帯だけが優遇されているように受け止める人もいます。
子育ては、人類の始まりから連綿と続いてきた営みです。現在は国内の出生数が減少し、統計開始以降で最低を更新している状況だけに、社会全体で子育てを支えてもよさそうに思えます。
しかし、職場では、子どもの急な体調不良で早退や欠勤をして、同僚たちにしわ寄せが生じることへの不満もあるようです。こども家庭庁のワーキンググループでも「子持ちさま」という言葉を使い、業務負担を巡る議論がありました。
なぜ、子育て世帯を巡る議論では、分断が生じているかのような印象を受けるのでしょうか。
著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家/しゅふJOB総研 研究顧問/4児の父・兼業主夫
愛知大学文学部卒業。雇用労働分野に20年以上携わり、人材サービス企業、業界専門誌『月刊人材ビジネス』他で事業責任者・経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。
所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声をレポート。
NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。
子育て世帯は「6世帯に1世帯」 40年で変わった日本の家族
厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、2025年の世帯総数は5505万8000世帯となっています。そのうち18歳未満の児童がいる、いわゆる子育て世帯は917万4000世帯で全世帯の16.7%です。およそ6世帯に1世帯の割合です。
いまから40年前の1986年は、児童がいる子育て世帯の比率は全体の46.2%でした。半数近い世帯にとって子育ては自分ごとであり、身近な出来事だったといえます。しかし、いまでは子育て世帯が少数派になっているため、職場などで特別視されやすい環境が生じているのかもしれません。
子育て世帯の比率が低下している理由は、出生数が少なくなっているだけでなく、世帯自体の構造変化も要因として考えられます。この構造変化の特徴は大きく2つあります。一つは核家族化が進んだことです。
祖父母などと同居している3世代世帯の比率は、1986年には15.3%でしたが、2025年には3.1%と5分の1に減少しています。子育て世帯だけに限っても、3世代世帯の比率は1986年の27.0%から2025年には9.5%になりました。日常的に祖父母の協力を得ながら子育てできるような環境が、著しく縮小していることが分かります。
祖父母と同居していれば子どもの急な発熱時なども対処しやすいものの、そうでなければ夫婦だけでなんとかせざるを得ません。保育園やベビーシッターといった外部サービスの利用や育児休業取得のニーズが高まるだけでなく、職場には状況に応じて柔軟に対処できるような環境整備が求められます。
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