「エディオン徒歩圏に張り付くヤマダ」 家電量販店“2.5兆円統合”が一筋縄ではいかないワケ(3/3 ページ)
6月5日、ヤマダHDとエディオンが、経営統合に向けた協議を進めることで基本合意したと発表した。経営統合には経営規模や企業文化の違い、メーカーとの取引関係など、乗り越えるべき課題が数多く残されている。その中でも、とりわけ大きな課題となりそうなのが「店舗網の再構築」だ。
「どちらの店舗が残るか」は地域経済にも影響
両社は同じ家電量販店でありながら、品ぞろえやサポート体制にはさまざまな違いがあり、特に選択肢が限られる地方都市においてはいずれも貴重な存在だ。そのため、ヤマダとエディオンの「どちらの店舗が残るか」によっては品ぞろえやサービス網が縮小する地域が生じる可能性がある。
統合に合わせた物流、配送、設置網などの統合や人員配置の見直しも避けられず、地域経済への影響も避けられないだろう。
統合後の「遊休不動産」も課題に
統合後の課題は、競争環境やサービス網だけではない。統合後に生まれる「遊休不動産の処理」も大きな問題の一つだ。
こうした業界大手同士の合併後の店舗統合によって生まれた遊休不動産の処理は、かつて大手都市銀行の経営統合の際にも課題となった。しかし、都市銀行の店舗は都市中心部の一等地が中心で、また自社物件ではないビルに入居している例も多くあり、比較的売却などが容易だった。
一方、ヤマダやエディオンの店舗の多くは、郊外型かつ一般的な食品スーパーやドラッグストアよりも広い店舗面積(おおよそ3000〜5000平方メートル前後)の大型店だ。自社所有物件であるケースも多い。
仮に商圏が重複する店舗の多くを閉鎖するとしても、閉鎖後の活用方法を検討しておかないと、大量の遊休不動産の処理が統合効果を打ち消す要因となる可能性もあるだろう。
もっとも、商圏が重複する店舗の整理によって物流効率や配送網の最適化が進めば、統合によるコスト削減効果は大きいとみられる。それだけに「どの店舗を残し、どの店舗を閉鎖するのか」「どういったサービスを残すのか」という判断は、消費者の満足度、ひいては「統合後の成否」を左右する重要なポイントとなりそうだ。
福岡県久留米市の「ベスト電器安武店」は一旦閉店、リユース店となったものの空き店舗に。そのためベスト電器が再出店して自社活用されている。「空き店舗にしておくよりもいい」ということだろうか(写真:若杉優貴)
こうした店舗網の再編は、統合に伴う課題の一つにすぎない。今回の経営統合で、統廃合以上の大きな壁となる可能性があるのが、公正取引委員会による「企業結合審査」だ。
実は、2012年にヤマダ電機(当時)がベスト電器を子会社化した際にも、独占禁止法上の問題から一部店舗を閉店し、競合他社への店舗譲渡を余儀なくされた過去がある。次回は、その前例を振り返りながら、ヤマダ・エディオン統合に立ちはだかる独占禁止法の壁について考察する。
(撮影協力:淀津昇)
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