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株や不動産も即座に現金化? SBI北尾吉孝会長が仕掛ける「資金調達・財務」の革新(2/2 ページ)

SBIはビットバンク子会社化などで国内基盤を固め、日本初の「完全オンチェーン取引所」創設へ動く。株式や債券、不動産などのリアル資産をトークン化し、24時間取引や即日決済を実現。企業を運転資金の拘束から解放し、資金調達を根本から変える構想だ。北尾吉孝会長は日本の遅れる規制や55%課税に警鐘を鳴らし、世界水準の金融インフラ構築の必要性を訴えた。

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既存の取引所は立ち行かなくなる SBIの「完全オンチェーン市場」

 暗号資産の規制は国ごとに大きく異なり、事業を営むには現地の免許が要る。市場は国単位で分断されたままで、国境をまたいだ取引は簡単に扱えない。

 SBIグループはこの壁を、免許を持つ現地企業に出資することで越えてきた経緯がある。欧州ではドイツの暗号資産取引所を運営するBoerse Stuttgart Digitalに出資した。EUでは1カ国で免許を取れば域内のどこでも事業を展開できるため、この1社で欧州市場への扉が開く。

 中東ではUAE・アブダビのFassetに出資している。Fassetはイスラム法に準拠した金融サービスを提供でき、利息の受け取りを禁じるなど独自の規律を持つイスラム金融の市場に入り込める。このほかシンガポール、米国にも出資先を持つ。


中東ではUAE・アブダビのFassetに出資している

 各国の免許がそろえば、あとは資産を投入するだけだ。株式も債券も預金も、トークン化すれば同じ仕組みの上で扱える。北尾会長が「全てのものはトークン化される」と繰り返すのは、その先に、国境も資産の種類も越えて一つにつながった市場を見ているためだ。

 だが、日本にその市場を動かす場所はまだ存在しない。新市場の創設にあたり、ある制度がSBIグループの味方をした。

 傘下のジャパンネクスト証券が運営する私設取引システムは、東京証券取引所を通さずに株式を売買できる場だ。手数料の安さを武器に注文を集めてきたが、売買高が市場全体の10%を超えた場合、証券取引所の免許を取得することが義務付けられている。同社はこの水準を超えたため、取引所を作る資格を得た。事業の成長によって転がり込んだ形だ。

 北尾会長は「市場シェアが拡大したことによって、いよいよやらざるを得ない状況になってきた。SBIグループは日本で初めての完全オンチェーンの新しい取引所を創設する」と明言した。

 ただし、既存の取引所と同じものは作らない。24時間365日動かし、約定した当日に決済を終える「T+0」を実現する。少額決済にも対応し、ステーブルコインを扱えるようにする。


「SBIグループが日本で初めての完全オンチェーンの新しい取引所を創設する」と北尾会長が明言

 従来の証券取引のように「約定から決済まで数日(T+1〜T+2)を要する」タイムラグが解消され、即日決済(T+0)と24時間取引が実現すれば、企業は手元資金や保有資産を即座に現金化できるようになる。資金の滞留時間がほぼゼロになることで、企業財務における「運転資金の拘束」から解放され、資金効率(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)は跳ね上がるというわけだ。

 新たな取引プラットフォームでは、消費電力を抑えるため、NTTのIOWNを活用する。北尾会長は「今ある取引所は到底立ち行かなくなる。世界にない、一番新しい取引所をできるだけ早く作り上げる」と宣言した。完全オンチェーンの取引所が動き出せば、株式の売買は平日の昼間に限られなくなり、決済も当日中に終わる。日本でその最初の一手を、SBIグループが打とうとしている。

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