投資の機を逃す「残念な会社がいっぱい」――ソフトバンクG投資の秘訣、“金庫番”が語る
投資会社として成果を積み上げてきたソフトバンクG。その投資方針と成功のポイントについて、同社の“金庫番”こと後藤芳光CFOが語った。
「宣言します。1000兆円であります」――ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)の孫正義氏(会長兼社長)は6月24日の株主総会で、同社が保有する株式の時価純資産(NAV:ネットアセットバリュー)を2042年までに1000兆円にすると語った。
1994年、同社のNAVは2000億円だった。2010年には約15倍となる3兆円を突破。2026年6月24日のNAVは74兆円まで跳ね上がった。米NVIDIAや米OpenAI、中国のAlibaba Group HoldingやByteDanceなど、数々の大型投資を“成功”させてきた実績がある。
投資会社として成果を着実に積み上げてきたソフトバンクG。投資方針と成功の秘訣(ひけつ)について、同社の“金庫番”として知られる後藤芳光氏(取締役 専務執行役員 CFO兼CISO)が8月6日の2027年3月期第1四半期決算説明会で語った。
負債の割合25%未満を堅持 「会社の安全性を見てもらう」
ソフトバンクGは、投資における財務方針に「LTV25%未満」を掲げている。LTV(ローントゥバリュー)は、保有株式の時価総額に対する借入金の割合だ。
後藤CFOは「LTVを25%未満で運営しておけば、株式市場が大きく荒れても全く安全なレベルだ」と説明。ソフトバンクGのように自己勘定による投資規模が大きい会社はまれだといい「会社の安全性を皆さんに見てもらうために、数字(を出すこと)が重要だ」(後藤CFO)という。
2027年3月期第1四半期の決算では、LTVが13%だった。「13%は大変安全な数字だ。安全過ぎる。もうちょっと投資しなければいけないのではないか、というレベルまで改善している」(後藤CFO)
投資の機を逃す「残念な会社がいっぱい」 ソフトバンクGの投資術は
ソフトバンクGのユニークな点が「予算を持たない」ということだ。一般的な事業会社のように「年間の予算計画」などを公表していない。後藤CFOは「投資予算は意図的に持っていない」と述べた。
「自己勘定の投資会社としてパフォーマンスを最大に出そうとすると、例えば予算を持っていて、3月末に予算が余ると『予算を使わないと来年度に予算をもらえない』と考えて“しょーもない会社”に投資する(ことがある)。そういう会社は世の中にいっぱいあるだろう。また、予算を全て使い切ったあとに良い会社が出てきて『もう予算枠を使っちゃったから投資できない』というアホな会社もいっぱいある。そういうことをしてはならない」(後藤CFO)
同CFOは「いい投資はいいときにやる。これを実行する」と強調した。
孫会長の1000兆円宣言 「驚きとともに、うれしく思った」
決算説明会では、孫会長が掲げた「2042年までの16年間でNAVを1000兆円にする」という目標に対して、後藤CFOの所感を問う質問が挙がった。
後藤CFOは、孫会長の発言に「驚きとともに、大変うれしく思った」と語った。
「当社は時価総額がこれだけ大きくなったが、創業者でありCEOであり筆頭株主であるというポジションのままいまに至っている。こういう会社のサクセションプラン(後継者育成プラン)をどうすべきか、投資家から質問をいただくところだ。われわれは、彼がさらに素晴らしいパフォーマンスを出してくれる限り、頑張ってほしいと思っている。われわれも引き続き支えていきたい」(後藤CFO)
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