参加の有無にかかわらず、飲み会代を給与から天引きされる これって違法?:社労士Q&A
当社では年末年始や期変わりのタイミングなどに飲み会があります。その飲み会代は、給与から天引きされています。飲み会は強制参加ではありませんが、参加しない場合も天引きされています。給与から飲み会代を天引きすることは法律に違反しないのでしょうか?
社労士Q&A
従業員の皆さんが「あれ?」と思っている社内規程や人事制度。人事や総務など管理部門の皆さんが「こんなときどうすれば……」と迷っている制度設計や問い合わせ対応。そうした疑問を、社会保険労務士の佐藤敦規先生に聞いてみました。
回答者プロフィール
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
Q: 当社では年末年始や期変わりのタイミングなどに飲み会があります。その飲み会代は、給与から天引きされています。飲み会は強制参加ではありませんが、参加しない場合も天引きされています。給与から飲み会代を天引きすることは法律に違反しないのでしょうか?
給与から飲み会代を天引き、違法? 判断の軸になるポイント
A: 労使協定を結ばないまま給与から差し引いているのであれば、労働基準法24条が定める「賃金の全額払い」に違反する可能性があります。
賃金は全額を労働者に支払うのが原則であり、これが労働基準法24条に定められています。給与から何かを控除する場合には、所得税や住民税、社会保険料などの保険料を除き、労使協定を締結する必要があります。
つまり「毎月これだけの金額を差し引く」という協定を労使間で結んでいるのであれば、控除そのものは問題ありません。しかし、協定がないまま会社の判断で飲み会代を差し引いているのだとすれば、賃金の全額払いに反することになります。まずは給与明細と、社内に賃金控除の労使協定があるかどうかを確認するところからでしょう。
同じことは、社員食堂の利用料やオフィスに常備しているお菓子代など、他の費目にも当てはまります。新しく社食を導入して給与天引きにする場合も、労使協定を結んでおく必要があるでしょう。勝手に始めてしまえば「自分は弁当を持参している」「お菓子は食べない」という社員が必ず出てきて、揉める原因になります。
では、質問のように実際に天引きされている社員はどうすればよいのか。会社に改善を申し入れるという方法はあります。ただ、こうした運用が続いている会社では、そもそも聞き入れられないことも少なくないでしょう。声を上げたことで、かえって居心地が悪くなる可能性もあります。
給与から代金が天引きされるということは、飲み会への参加が事実上の強制になっているともいえるかもしれません。こうした状態自体、今の時勢には合いにくいものです。そういった観点からも、会社が社員の時間を一律に拘束することに、会社側としては慎重であるべきでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
経営者「昭和のように働いて」社員「休みより収入」 導入してほしい制度1位でも「週休3日」が広がらない納得の理由
有名企業が導入して話題になる週休3日制。今回は、週休3日制が浸透しない理由や導入している企業の事例、導入に必要な手続きを社会保険労務士の視点から解説します。
「忘れないうちに送っただけ」は通用しない 業務時間外の連絡を減らすルール作り、社労士が解説
昨今「つながらない権利」に注目が集まっています。今回は、企業が勤務時間外の連絡についてどのようなルールを定めていけばいいのかを社会保険労務士が解説します。

