新宿、中野、荻窪――自社に合う立地選びの視点 JR中央線エリアを“出店のプロ目線”で見ると?:出店戦略の最強技法(1/2 ページ)
新規出店の場所をどう探せばいいのか。新宿などJR中央線沿いで出店エリアを探すコツを「出店のプロ」が解説する。
この記事は『出店戦略の最強技法 2000店舗を成功に導いたプロのメソッド』(石井昭人、日本能率協会マネジメントセンター)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
新店舗の立地、どう決める? カギは“鳥の視点”にあり
多くの人は、立地探しを始めると、いきなり物件を探します。しかし、この順番ではうまくいきません。物件は最後に見るものだからです。
物件から見始めると、本来自分がやりたい商売に合ったマーケットかどうかを無視し、物件そのものに目を奪われてしまいます。それでは出店ではなく、ただの箱探しです。やりたいことが具体化されないまま、物件だけが候補になっていく。だからこそ、最初に見るべきは物件ではありません。
>関連記事:都心の一等地でも、店は平気でつぶれるけど――繁盛店に共通する“立地”のヒミツ
店舗の開発では、最初に「場所」ではなく「エリア」を見ます。そしてそのエリアを、現地に行く前に一度「上から」読みます。 これが鳥瞰(ちょうかん、本記事では「トリカン」)です。
“良い立地”を見極める3つの視点「鳥瞰」「白図」「虫瞰」
エリアは、感覚で見るものではありません。手順で読みます。一度で全部を見ようとすると、見ている対象が混在し、判断基準がぶれる。視点を分けることで、各ステップで「見るべきこと」が明確になる。
そのために用いるのが、鳥瞰(トリカン)・白図(ハクズ)・虫瞰(ムシカン)の3つの視点です。
- 鳥瞰は、エリア全体を見て当たりを付ける作業です。
- 白図は、情報を整理し、人の動きを仮説として捉える作業です。
- 虫瞰は、現地に立ち、その仮説が成立しているかを確かめる作業です。
この3つを順番に使うことで、場所は感覚ではなく、判断として見えるようになります。
鳥瞰でエリアを絞り、白図で構造を読み、虫瞰で現地を確かめる。この順番で見ていくことで、出店候補は自然と絞り込まれていきます。では、この手順を順番に見ていきます。
新宿、中野、荻窪――JR中央線沿いの出店エリア、プロはこう見る
鳥瞰(トリカン)では、まず広い範囲を見て、どの街に焦点を当てるべきかを考えます。この地図は、そのために新宿を含む広域を並べて見た図です。この段階では、まだ対象エリアは決めません。ここから、実際に検討する価値のある街を残していきます。
ここでは、生活密着・日常利用型業態を前提に考えます。例えば、総菜店、ベーカリー、小型食品店、美容系、フィットネスなど、生活圏の中で繰り返し使われる店です。
こうした業態は、人が多い街ならどこでも成立するわけではありません。大切なのは、
- 生活者がいること
- 日常の動線に入ること
- 家賃と売り上げが見合うこと
この3つがそろって、はじめて現実的な出店候補になります。ここで考えるのは「一番大きい街はどこか」ではありません。「一番人が多い街はどこか」でもありません。
自分の商売にとって、現実的に検討する価値がある街はどこか。そこを見極めるのが、鳥瞰(トリカン)です。ここではまず、候補として残す街と、今回は外す街を分けます。その判断を、次のページでデータを使って確かめていきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
都心の一等地でも、店は平気でつぶれるけど――繁盛店に共通する“立地”のヒミツ
好立地に出店すれば繁盛するだろう――ここに落とし穴がある。都心の一等地でも、店は平気でつぶれるのだ。では、長く続く店舗に共通する“立地のヒミツ”を解説する。
2→40店舗に拡大 「大阪の家具店」だったリビングハウスは、どうやって値下げ競争から脱却したのか
100人中100人に好かれなくていい――。そう語る北村甲介社長の下で、リビングハウスは価格競争に陥りやすい家具・インテリア業界で成長を続けている。なぜ同社は“選ばれるブランド”になれたのか。その戦略に迫る。
家系ラーメンの「町田商店」が超えた「多店舗展開10億円の壁」 カギはシステムパワー経営にあり
家系ラーメンの町田商店が急成長している。直営店が117店舗、プロデュース店が396店舗。「多店舗展開10億円の壁」をどう突破したのか。
顧客は“安いモノ”にもクオリティーを求める 店舗急増中、無人ジム経営者が語る「成功の秘訣」
深刻化する人手不足の中、複数の店舗や窓口を持つ企業は多くの苦労を抱えている。人手が増えない中、オペレーションを均一化し、提供するサービスの品質を保つためにはテクノロジーの力が欠かせない。今回は筆者が現在経営している24時間フィットネスジム「LifeFit」における多拠点経営のポイントを紹介する。
店舗予算は「分かりません」 数字を知らないキャンディ店、社長はどう変えた?
店舗予算は「分かりません」「日々頑張ります」――アメ細工のパフォーマンスで若者から人気を得ている「PAPABUBBLE」だが、経営はアナログで行き当たりばったりだった。そんな中、4月に代表に就任したのは電通やゴンチャジャパンでマーケティングを極めてきた越智大志氏。就任後5カ月で、会社はどう変わったのか。

