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顧客は“安いモノ”にもクオリティーを求める 店舗急増中、無人ジム経営者が語る「成功の秘訣」「多拠点経営」大解剖(1/2 ページ)

深刻化する人手不足の中、複数の店舗や窓口を持つ企業は多くの苦労を抱えている。人手が増えない中、オペレーションを均一化し、提供するサービスの品質を保つためにはテクノロジーの力が欠かせない。今回は筆者が現在経営している24時間フィットネスジム「LifeFit」における多拠点経営のポイントを紹介する。

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筆者プロフィール:小林幸平

株式会社FiT取締役


 深刻化する人手不足の中、複数の店舗や窓口を持つ企業は多くの苦労を抱えている。人手が増えない中、オペレーションを均一化し、提供するサービスの品質を保つためにはテクノロジーの力が欠かせない。

 今回は筆者が現在経営している24時間フィットネスジム「LifeFit」における多拠点経営のポイントを紹介する。

ドミナント戦略のメリット・デメリット 多拠点経営の罠

 24時間型の無人フィットネスジム「LifeFit」(運営:Fit、京都府)は月間5〜10出店ペースで拡大中で、店舗数は2025年1月現在約100店舗に迫る。京都で第一号店を出し、その後直営店舗とフランチャイズ店舗の出店によって、この1〜2年で急速な店舗拡大に成功している。

 今回はその肝でもある「多拠点経営」の重要性について、僭越(せんえつ)ながら解説していく。

 読者の皆さんはドミナント戦略という言葉を耳にしたことはあるだろうか?

 店舗型の事業を運営する際、特定のエリアに絞って規模を拡大し、商圏内を独占状態にするのがドミナント戦略だ。

 フランチャイズモデルで店舗拡大を目指す場合、理論上は全国各地に「オーナー」さえいれば出店は可能だ。ただし、それを運営する本部は限られたリソースでそれらの店舗をマネジメントする必要がある。

 有名な話で言えば、セブン-イレブンはある程度固まったエリアに集中して店舗を出しており、これは配送効率を高める手段として非常に有効である。このように、特定のエリアに絞って店舗展開することによって、リソースの選択と集中が実現でき、これは実際に経営してみると非常に大きい効果を発揮する。

<参考:“変態セブン”が生まれた背景に、地獄のドミナント戦略

 店舗型事業の場合、認知の獲得手段としてやはり店舗自体の知名度は大きい。しかし、消費者がその地域にたった一店舗しかない店舗を認知することはとても難しいものだ。

 私が運営するLifeFitは京都・大阪に数多く出店している。2〜3年前は10店舗前後しかなく、関西圏でもほぼ認知がなかった。しかしこの1年でその認知は大幅に伸び、最近では道を歩くと「ここ、次LifeFitができるらしいよ!」という声を聞くことも多くなった実感がある。

 実際に、関西では特に、新しい店舗を出店するとその周辺の既存店の会員数が伸びる傾向がある。


「LifeFit 寝屋川店」(出店:プレスリリース)

 一方で、ドミナント戦略を取らずに、全国各地津々浦々に、戦略なく出店すると、リソースと認知獲得のメリットを被ることができない。

 特にフランチャイズ事業の立ち上がりにおいては、どうしても出店スピードを意識するが故に、兎にも角にもエリアを絞らずに出店するケースがある。もちろん全てを特定の地域に絞って出店する必要はないが、「どれくらいのスパンで、どの規模の店舗数を作って、拡大するのか」を事前に決めておくのはとても重要である。

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