なぜ韓国は世界でヒットを連発し、日本は540億円を溶かしたのか 「クールジャパン」の誤算:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
クールジャパン機構はなぜ、世界で勝てるアニメやマンガではなく、バイオベンチャーなどに巨額の公金を投じたのか。約540億円の累積赤字から、日本の産業政策の構造的な問題を読み解いてみると……。
韓国と日本の違い
アジア通貨危機で経済が大きな打撃を受け、財閥企業などに経済力が集中していた韓国で新たな産業を育成するには、海外市場を目指すしかない。日本の半分以下となる約5180万人の人口規模では、「幅広い分野が潤う国内産業の育成」は難しい。つまり、クールコリアが成功したのは韓国が「持たざる国」だったことが大きいのだ。
日本は人口減少が進行しているが、1億2000万人というそれなりに大きな国内市場があり、GDPの約7割は内需だ。中国や新興国に押され気味とはいえ、自動車、アパレル、素材、食品などの国内産業に、それなりの規模がある。
誤解を恐れずに言えば、クールコリアで生き残りをかけた韓国と異なり、まだそこまで尻に火が付いていないのだ。
だから、アニメやマンガのような分野への国の支援は薄くなる。それでも世界的に評価されているのは、現場で戦っている人々の「がんばり」のおかげなのだ。代わりに「多くの人の食いぶち」につながりそうなスパイバーのような企業に公金が大量に投入されるというわけだ。
ただ、そうした状況が続くのもあと数年だろう。クールジャパン機構の大失敗を見ても分かるように、「選択と集中」ができない国の投資は、見るも無残な結末を迎えるものだ。
高市政権は2040年度までに総額370兆円超の官民投資を戦略的に行う方針だ。そこにはアニメやマンガなどのコンテンツ産業も含まれるが、対象は17分野に及ぶ。「選択と集中」ができずに、官民ファンドの失敗が相次いでいることへの反省はないようだ。
今回の積極財政も、クールジャパン機構と同じように、10年ほどして振り返ってみたら、「おいおい、なんでこんな分野に大金を突っ込んでいるんだよ」という案件が、山ほど出てくるのではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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