富士通の営業、個人の「勘や経験」を組織で再利用 データ、KPI、仕事を「AI前提」に変えた方法(2/2 ページ)
AI活用で成果を出すには、大前提「仕事とデータを整える」必要がある──こう話すのは、富士通 執行役員常務の古濱淑子氏だ。同社は、営業組織における個人の「勘や経験」といったスキルを、組織で再利用する仕組み作りに取り組んでいる。
KPI設計も工夫
AI活用の効果を判断するため、富士通ではKPIも設計している。
例えば、営業が活動を始めてから商談を獲得するまでのプロセスについて、準備、訪問、商談などのポイントごとに測定項目を設定。AI活用の前後で活動量や所要時間などを比較し、どこを改善すれば成果につながるのかを確認していく。
AIによって単純に作業時間を削減するだけではなく、浮いた時間を訪問や提案といった活動に振り向ける。AIを使うことを前提に、人とAIの役割分担も変えている。
例えば顧客訪問では、これまで議事録を取るためだけに同行していた人を減らし、会話を録音してAIを活用する。
「AIができることはAIにさせ、人がやるべきことは人でやる」(古濱氏)
そのためには、AI導入と同時に「変えなければいけないルールや態度を明確にする」ことが重要だという。人数を減らすこと自体を目的にせず、生産性を上げ、最終的に受注金額や受注数を増やすところまでを設計し、営業の動かし方そのものを変えていくことが目標だという。
データとAIと仕事をどう循環させるか
古濱氏が強調するのは、データ、AI、業務変革を一つの循環として捉えることだ。
個人の経験や組織の知恵をデータとして表層化し、それを基に意思決定や行動につなげる。さらに新たな経験をデータとして蓄積する。この循環を速く回すことで、AIエージェントの活用も進んでいく。
そのためには、まず「データをためたけれど使えない」状態を解消する必要がある。
「それはデータの軸がそろっていないから。どういう時にどう使うのかを整理をしながら、組織としての使い方をしっかり定義をしていく必要がある」
富士通では営業だけでなく、経理や購買などでも、目標を明確にしたうえで業務のやり方を変える取り組みを進めている。AIを導入して終わりにせず、データを整備し、仕事を見える化し、その結果を基に業務を再設計する。そして、再びデータを蓄積して改善する。
「この回転を高速に回していくことがAI前提の業務変革につながっていく」
AIを使うことを前提に、何を成果とするのかを決め、人とAIの役割、データの持ち方、仕事のルールまで変えていけるか──。富士通の営業現場で進む取り組みは、AI時代の仕事の仕組みを考える一つの実践例といえそうだ。
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