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「70歳まで働いてほしい」人とは? 企業が本当にほしいベテラン、いらないベテラン(2/3 ページ)

「67.9歳まで活躍してほしい」という調査結果の裏には、経営者の厳しい「線引き」がある。AI時代に激減するホワイトカラーを横目に、現場を支える熟練技能職の価値が急騰。会社が選ばれる側になる今、優秀なベテランの心をつかむ具体策を提示する。

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アメリカで起きている「ブルーカラー回帰」

 この線引きを考えるうえで、参考になる動きが海外にある。アメリカで起きているブルーカラー職種への注目だ。

 デジタル技術やAIの進化によって、ホワイトカラーの一部で「人余り」が起きている。打撃を受けているのは、マーケティング、法務、会計、人事、ITといった分野だ。一方で、需要が高まっているのが技能職である。

 象徴的なのが、海外のメディアで報じられた通信大手AT&Tの動きだ。5年間で約380億ドル(約6兆円)を投じ、主に熟練技術者の採用と訓練を進める。

 AIに置換されにくい技能職では、熟練者の引退が進み、後継者が育っていないところも多いと考えられる。

日本でも始まっている賃金の逆転

 同じ潮流は、日本でも確実に起きている。

 リクルートワークス研究所が2月に発表した労働市場分析によれば、人手不足が著しい一部のブルーカラー職種では、過去5年間で賃金が大きく伸びている。2024年には自動車整備・修理従事者の平均年収が約480万円(2020年は約407万円)となり、総合事務員の約468万円(同約436万円)を上回っている。


人手不足のブルーカラー職種の収入が、ホワイトカラーの収入を上回り始めた

 全てではないが、人手不足が深刻な一部のブルーカラー職種では、ホワイトカラーの収入を上回るケースが出ている。帝国データバンクの調査で活躍期待年齢が高かったのが、農・林・水産、運輸・倉庫、サービスといった現場系の業界だったことも偶然ではないだろう。

代えがきかないのは、現場に立てるベテランだ

 ここまで見てくると「67.9歳」という数字の意味がわかるはずだ。

 ホワイトカラーの仕事が減少していく時代に、本当に代えがきかないのは誰か。長年の経験を体で覚え、現場に立ち続けられるベテラン人材である。しかも、健康であることが大前提だ。

 一方で、現場から離れた事務・調整中心のベテランに対しては、AIやデジタルツールの活用を前提としたリスキリングを求めるか、役割の再定義をはっきり提示することも求められてくる。

 若手が入ってこないし、中途採用も難しい。だからこそ企業はベテランに頼らざるを得ない。しかし「仕方なく残ってもらう」のと「ぜひ残ってほしい」とでは、本人の意欲がまるで違う。

 企業がやるべきは、残ってほしい人材を明確にし、その人たちが働き続けたくなる環境を本気でつくることだ。

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