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ミンカブが手放し、SBIが買ったライブドア “誰が持つか”で変わるメディアの価値(1/3 ページ)

SBIによるライブドア買収、NTTデータとミンカブの提携。一見複雑な再編の背景には、証券の手数料ゼロ化に伴うビジネスモデルの激変がある。「顧客接点」の真価値と、21年越しの数奇な因縁をひも解く。

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筆者プロフィール:古田拓也 株式会社X Capital 1級FP技能士

FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックスタートアップにて金融商品取引業者の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、広告DX会社を創業。サム・アルトマン氏創立のWorld財団における日本コミュニティスペシャリストを経て株式会社X Capitalへ参画。


 大手ネット証券の「SBI証券」などを傘下に持つSBIホールディングスが、ニュースサイト「livedoorニュース」などを運営するライブドアの買収に動いた。SBIホールディングス(以下、SBI)は9月17日、金融情報サービスのミンカブ・ジ・インフォノイド(東京都港区)との間で、同社の完全子会社であるライブドアの全株式を取得する基本合意書を締結したと発表した。


証券サービスを提供する企業が「メディア」を欲する理由とは

 同じ日、もう1つの発表があった。NTTデータがミンカブと資本業務提携を結び、株式を追加取得して議決権比率約16.38%の筆頭株主になる見通しとなったのだ。これら3社は、金融領域の新サービス創出に向けた業務提携も結んでいる。

 ミンカブという会社は、実態としては2つの事業領域に分かれている。生活者に情報を届けるメディアはSBIと、金融データを軸とするミンカブ本体はNTTデータと組むことになった。

 今回の再編は「顧客接点」と「データ」、それぞれを最も生かせる相手に振り分ける再編であったと筆者はみている。では、なぜ金融グループのSBIが、ニュースやブログのメディアを必要とするのか。鍵になるのが、証券会社の稼ぎ方の変化である。

ライブドア転々、LINEからミンカブ、そしてSBIへ

 まず、ライブドアの来歴を振り返っておきたい。

 ミンカブは2022年9月、LINE(当時)が吸収分割するライブドアの事業を子会社化すると発表した。承継したのは「ライブドアブログ」「livedoorニュース」、韓国エンターテインメントニュースの「Kstyle」の3サービスで、合計の月間利用者数は約7000万人だった。

 取得価額は71億円で、ミンカブは既存の金融メディアが「投資家層」向けであるのに対し、ライブドアを取得することで「生活者全般」にも情報を届けられると説明していた。投資家以外の生活者にまで接点を広げ、自社の投資・資産形成コンテンツを届けることが狙いだったというわけだ。

ミンカブが試した「メディアから金融」

 ミンカブは、この顧客接点を金融サービスにつなげる試みも始めていた。

 2024年3月19日、同社はデジタル金融サービス「ライブドアバンク」を開始した。広告以外の継続的な収益モデルを作るため、メディア利用者との接点を新たな収益機会につなげると説明している。

 しかし、メディア事業そのものは逆風にさらされた。ミンカブは2025年2月の決算説明資料で、2025年3月期のライブドアの売上高が中期経営計画を31億円下回るとの見通しを示した。理由として、ディスプレー広告の単価下落と、検索エンジンのアルゴリズム変更による流入減少を挙げている。

 広告収入を軸とするメディアにおいて、利用者数の多さがそのまま収益に結びつくとは限らない。収益は、自社でコントロールしにくい広告単価や検索エンジンからの流入変動にも大きく左右されるからだ。

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