「人間のクズ」と部下に暴言→辞任 横浜市長パワハラ事件にみる、自治体トップで不祥事が相次ぐ納得の背景(4/4 ページ)
パワハラの告発を受けていた横浜市長が辞任に追い込まれた。このケースにとどまらず、近年は自治体トップの不祥事が相次いでいる。背景には何があるのか。そして、再発を防止するには何をすべきなのか。
「トップの横暴」に歯止めをかけるために必要なものとは?
彼らの特権意識を強固にするものは、絶対的な人事権の掌握です。絶対的な人事権は部下を黙らせ「言いたいことを、言いたいときに、誰もが言える」という心理的安全性を奪い取ってしまいます。
トップの横暴を指摘しようものなら、遠隔地に飛ばされたり、降格させられたり、閑職に追いやられたりするかもしれない。そんな恐怖心が口をつぐませることになります。この点に歯止めをかけないことには、いつどこにおいても横浜市のようなケースは起こり得るのです。
多くの上場企業においては、社外取締役が中心となり構成される指名委員会や、報酬委員会がトップを含めた役員を評価し、よろしからぬ事態によってはトップの更迭(こうてつ)もあり得るでしょう。それこそが、今様の企業経営でありガバナンスです。
しかし、横浜市のような公共団体やビッグモーターのような非上場企業では、いかに大きな組織であろうとも、トップに抑止力を働かせるような仕組みが十分に整備されていないのが実情です。内部通報システムが設置されていたとしても、それが十分に機能しないケースも多く、横浜市の場合にも市長の横暴の前には無力であったのです。
この点について、いかに対策していくべきなのでしょうか。
横浜市の第三者委員会の報告書では、市長などの特別職を対象とした制度の欠如を指摘し、研修などの充実を挙げています。しかし、それ以外の具体策には言及していません。
内部通報システムに関しては、トップから完全に独立させた第三者の管理とすべきでしょう。またトップの優越的な地位の濫用に該当するような通報については、トップ自身を関与させず、第三者が厳正な調査と対応に当たる運用の厳正化が必須です。
公共団体の場合には、問題発生時における議会との連携を含めた具体的な対応方針を事前に定めるなど、トップである市長の横暴に対しても抑止力が働くような仕組みづくりが必要であると考えます。
また、内部通報に至る前の予防策として、トップを部下が査定する「180度評価」の定期的実施も有効です。公共団体などでは、その結果を公にすることで、暴走を抑止できるのではないでしょうか。
誰からもとがめを受けない状況こそが、特権階級意識を助長しているとするならば、この種の制度を導入することが歯止めになるはずです。たとえトップであろうとも「自分の一挙手一投足を、常に厳しい目で見られている」という意識を持たせることこそが、再発防止につながると思うのです。これは民間企業にも応用できます。
もちろん、まずは本人の自覚が大前提であることは、論をまちません。相次ぐ自治体トップの不祥事報道を、組織のトップは何よりまず自身の襟を正す機会として捉えてほしいものです。
著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役
横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。
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