DXの反省を生かせ AIで「月間9万時間」「4.7億円相当」の業務削減をしたレゾナックの「共創モデル」とは(3/3 ページ)
AIツールを配布しても、全社的な業務変革にまで結びつかない企業は少なくない。レゾナック・ホールディングスは、AIライセンスの全社への導入から約半年で、活用率95%を達成し、月9万時間の業務削減に成功した。現場発のアイデアを全社資産へと変える「独自の共創モデル」の全貌に迫る。
社内からサプライチェーン全体へ 「データ×AI」で描く次世代の競争力
現在、同社は並行して「ステージ2」にも着手している。これは、同社が蓄積してきたデータとAIを統合して、企業の競争力をさらに引き上げる挑戦だ。
AI活用においては「データの整備」が壁になりがちだが、能丸氏の考え方は明確だ。最初から巨大なデータ基盤を作ろうと目指すのではなく「何をやりたいか」(What)という目的から逆算してデータを積み上げていくアプローチをとっている。
既存のシステムにデータがあればそれを活用し、現場に紙やExcelの資料しか存在しなくても、AIのOCR機能などを用いてデータ化する。目的が明確であれば、意外に必要なデータは得られるものだと語る。バックオフィスなどの本社機能においても、基幹システムが持つデータをAIが引き出し、活用する試みが始まっている。
そして、このステージ2の視野はレゾナックの社内だけにとどまらない。サプライチェーン全体の改革を見据えている。他社と単にデジタルで接続するだけでなく、互いに必要な情報を提供し合って連携し、プロセスそのものを共に改革していく。ビジネス環境が大きく変化し、顧客からの品質要求も高まる中、サプライチェーン全体で効率と生産性を上げなければ勝ち残ることはできない。パートナー企業との地道な交渉を通じて、全体最適を目指す挑戦が始まっている。
CDIO組織と現場の社員たちとの共創によって、同社のAIによる変革は推進力を得た。単なる作業の効率化にとどまらず、BPRやデータ統合までを初期からスコープに入れた取り組みは、過去のDXの反省を生かし、AI時代を生き抜く競争力を着々と生み出している。この先にある「ステージ3」に向けて、同社の挑戦は続いていく。
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