DX担当「また同じ質問か……」 デンソー「人が頑張る」をやめた、AIが回す「ナレッジ循環」の仕組み(2/2 ページ)
デンソーでは、他部署から繰り返し寄せられるDX相談と、ナレッジ活用の停滞が課題となっていた。「人が頑張るDX」から脱却し、AIで問い合わせを組織の資産に変える「ナレッジ循環」は、いかに実現するのか。
「まず聞く」から「まず探す」へ AI活用を一過性にしない仕組み
この仕組みを支えるのが、ビッグデータの管理・分析サービス「Snowflake」(スノーフレーク)上に集約した「データ資産」と、Microsoft 365上に構築した「ナレッジ資産」だ。
Snowflakeには基幹システムのデータ(財務、人事データなど)や事業部門のデータ(設計仕様、品質データなど)、データカタログ(データベース名、スキーマ名など)を集約。一方、Microsoft 365には、DX相談案件の一覧(案件名、依頼内容、相談者)や相談チャットの履歴、担当者の現在のレベルや育成目標といったスキルマップなどを蓄積する。
この両者をAIでつなぎ、データやナレッジを横断して探索・要約・提案できる環境の構築を進めた。大山氏は「バラバラだった2つの資産をAIが使える形『AI-Ready』な環境に集約することを目指した」と説明する。
こうしたAI活用を実現するためにも、その前段階となるデータやナレッジの整備が欠かせなかった。
「基盤とデータカタログの地道な整備があって、初めてAIが効いてくる」(大山氏)
データカタログを整えておくことで、相談時に必要なデータが存在するかどうかを確認できる。ナレッジを構造化して蓄積しておけば、過去の対応事例を次の相談で参照できる。
同社は、こうした仕組みを1回かぎりのAI活用に終わらせず、利用するほどナレッジが増える循環につなげることを目指す。
「ナレッジが増えるほど検索で見つかり、見つかるほど問い合わせが減り、人が重要案件に集中できるからこそ、また質の高いナレッジが残る」と大山氏は説明する。
最初は「まず聞く」だったものが、ナレッジが蓄積されれば「まず探す」に変わる。そこで自己解決できなかった相談だけが上がり、解決した内容はまた次のナレッジになる。
「一つの問い合わせが1週間でナレッジになり、1カ月後には次の人の自己解決を支えていました」(大山氏)
DX相談の効率化にとどまらせることなく、日々の業務の中で発生する相談と解決を、次の業務に生かせる知識に変えていく。その積み重ねによって、人とAIがともにナレッジを育てる仕組みを事業部内から広げようとしている。
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