「日本の勝ち筋は計測にある」 東北大がノーベル賞・田中耕一氏と挑む「精度1000倍」の限界突破(2/3 ページ)
東北大学と島津製作所は、15億円を投じる新拠点「異分野融合計測イノベーションセンター」(CICMI)を開設した。目玉は現在比「1000倍」の精度を誇る質量分析技術の開発と、ノーベル賞受賞者・田中耕一氏の国際卓越教授就任だ。「引退前にもうひと花」と意気込む田中氏とともに病気の超早期発見に挑み、経済安全保障の基盤となる「計測」を武器に、産学連携で日本の国力強化を目指す。
「限界突破」に全学体制で挑む 東北大×島津製作所のタッグ
両者が掲げる壮大な目標は、決して絵空事ではない。
東北大と島津製作所には、長年にわたる強固な提携の歴史がある。2012年には高速ビデオカメラ用のCMOSイメージセンサ「FTCMOS」を共同開発。2024年には「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」を開所し、早期診断や医薬品開発につながる解析技術で、すでに大きな成果を上げている。
東北大の冨永悌二総長は「医学、工学、農学、薬学といった総合知を結集し、全学体制で挑みたい」と、文部科学省が認定する国際卓越研究大学・第1号としての決意を語った。島津製作所の山本靖則社長も「産学連携と異分野融合を促進し、研究成果を社会実装して課題解決に寄与したい」と力を込めた。
「引退前にもうひと花」 ノーベル賞・田中耕一氏が次世代に託す“異端の閃き”
そして、このプロジェクトの先頭に立つのが、東北大OBであり、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一氏だ。国際卓越教授として、月に1回は京都から仙台へ赴き、学生や若手研究者を直接指導する。
「ノーベル賞受賞後、数百の講義や講演をしてきましたが、まだちゃんと伝えきれていない。私は67歳ですが、引退する前に、もうひと花、何かやらなければならないと思いました」
田中氏が今回引き受けた理由には、熱い情熱がにじむ。 東北大工学部電気工学科出身でありながら、化学という異分野でノーベル賞に輝いた田中氏。「異分野の人間だからこそ、突拍子もないアイデアを引っ張り出せるのではないか。それをCICMIの中では、やりやすいのではないかと期待しています」と話す。具体的には、自身が語る20〜30本の動画教材を作り、動画を駆使しながら、若者の柔らかい頭脳から“異端の閃き”を引き出そうとしている。
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