「管理職になんてなりたくない!」って本当? そのワケと「なりたくなる組織」の作り方(3/3 ページ)
管理職の約6割が「仕事を続けたい」と回答する一方、心身の疲弊を感じる管理職も少なくない。管理職を孤立させず、持続可能なマネジメントを実現するために、人事やメンバーは何ができるのか。
上司への満足度が「管理職になりたいか」に影響
管理職が日頃、メンバーとどう接するかも、次世代の管理職を生み出す鍵になる。
直属の上司と働くことに「満足している」一般社員のうち「今後管理職になりたい」と答えた割合は20.8%だった。一方、上司に「満足していない」層では15.9%にとどまった。
上司に満足している層は「自分の強みを発揮できる仕事をアサインしてくれている」「伸ばすべき強みや能力を見いだしてくれている」「何でも発言し合える雰囲気を作ってくれている」と実感している割合が、不満層に比べて20ポイント以上高かった。
日々のマネジメントを通じて上司への信頼が生まれ、メンバーは安心して仕事に挑戦できる。そこで周囲をリードする経験を積むことが「自分も管理職を目指してみよう」という意欲につながる。また、上司がやりがいを持って働く姿を見ることで、管理職の仕事を具体的にイメージでき、敬遠感が薄れる効果も期待できる。
ただし入江氏は「組織における管理職ポストには限りがあり、全員が管理職になりたいと思う必要はない」と補足する。大切なのは、管理職を目指したい社員が前向きに挑戦できる環境を作ることだ。
管理職自身の成長も後回しにしない
持続可能なマネジメントを実現するもう1つの柱は、管理職自身の活力を保つことだ。部下の成長支援を優先するあまり、自身のキャリアや希望を後回しにする管理職が多いという。
「管理職も、自分自身の成長実感や今後のキャリア、組織で何を実現したいのかを言語化し、周囲に発信していくことが必要だ」(加茂氏)
B社の研修では、管理職同士で過去の360度評価(多面評価)を振り返り、成長した点や、その背景にある自身の工夫を整理した。その上で「これから目指したいリーダー像」や「生かしたい強み」を共有。さらに、これまでの人生や仕事を振り返り、自分が何にやりがいを感じるのかも見つめ直した。自身の成長や今後の展望を言葉にすることで、日々のマネジメントに向き合う活力を取り戻す狙いだ。
こうした自分自身の思いを発信する機会は、日常の組織運営にも取り入れられている。加茂氏によると、リクルートMS社内では管理職が上位方針を発信する際、要請(Must)を単に伝えるだけではなく、自分がやりたいこと(Will)や、できること(Can)も組み合わせて語ることが求められているという。
人事が取り組むべき支援は、単なるスキル研修にとどまらない。管理職が孤立せず、日々の仕事に手応えややりがいを感じながら働ける環境を作ることが、組織を持続的に運営するための第一歩となるだろう。
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