AIで変わる金融機関の「つなぐ力」 西武信金は25年続けた“手作業”マッチングをどう進化させた?(2/4 ページ)
顧客データはあっても事業の中身が見えない――営業活動の属人化を課題とする金融業界で、西武信金はAIを活用し、25年実施してきた手作業での企業マッチングを刷新。AIと人が生み出す支援の現在地に迫る。
300×300の「手作業」 AIが変えた商談マッチング
では、従来の金融機関では、取引先同士をつなぐ仕事をどのようにこなしてきたのか。西武信用金庫では、中小事業者のビジネスチャンスの拡大を目的に、企業展示・マッチングの機会として「ビジネスフェア」というイベントを2000年から継続的に開催してきた。
ビジネスフェアでの組み合わせ作りは、約25年にわたり職員の手作業だった。西武信用金庫の高橋一朗理事長(高は「はしごだか」)によると、300社の出展者のフェイスシート(企業概要や希望条件などをまとめたシート)を縦に300社、横に300社並べ、どこが組めるかを一つずつ見ていくのだという。
今回、この組み合わせ作りをAIに置き換えたのがTAILOR WORKSだ。土手本氏は、開催の2カ月ほど前から出展企業347社の企業データベースを作り、各社と相性の良い相手をリストにして、同信金の営業担当を通じてExcelシートで渡したと説明する。出展企業はそのリストから興味のある10〜20社を事前に選び、当日は相談カウンターで商談するという流れだ。
ビジネスフェアに出展した森のエネルギー研究所(東京都青梅市)の菅野明芳社長は、午後だけで5〜6件の面談が入ったと話す。「去年まではこうしたシステムがなかった。民間企業同士の具体的なアポが取れたことには、率直に驚きと感謝がある」
出展企業は数百社に上るため、事前に各社のWebサイトを見ても、社名でピンときた5〜10社しか調べきれず、あとは当日に会場の看板を見て回っていた。今回はAIが抽出した上位5件のうち3件ほどが気になる相手だったという。「抽出されなければ、たぶんこちらからは話しに行かなかった」(菅野社長)
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