“100万ドル超の資産”を持つ日本人「290万人」、激化する「富裕層ビジネス」 SMBC、MUFG、みずほの戦略と課題(1/4 ページ)
日本の富裕層が290万人に達するなか、メガバンク各社が富裕層ビジネスの獲得合戦で火花を散らしている。3社の戦略と課題を整理し、メガバンクが見落としがちな「真の富裕層心理」に迫る。
長らく続いた金融緩和による、株式や不動産価格の上昇などを背景に、日本においても富裕層は増加している。
スイスの大手金融機関UBSの「グローバル・ウェルス・レポート2026」によると、日本の富裕層(100万ドル以上の資産を持つ成人数)は、290万人に達している(2025年)。こうした富裕層をターゲットに、メガバンク各社は、デジタル個人金融やポイント経済圏との連携を進める中で、資産運用を中心とした富裕層ビジネスの拡大にも積極的に取り組んでいる。
しかし、華やかなサービス競争が加速する裏で、メガバンク側と富裕層のリアルなニーズとの間には、思いのほか大きな「温度差」が存在する。
本稿では、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の取り組みを整理し、それぞれの課題について考える。
著者プロフィール:高橋克英(たかはし・かつひで)
マリブジャパン代表取締役/事業構想大学院大学特任教授。三菱UFJ銀行やシティグループ証券、シティバンクなどで、クレジットアナリストや富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍後、2013年に独立し金融コンサルティング会社「マリブジャパン」を設立。慶應義塾大学経済学部卒、青山学院大学大学院 国際政治経済学研究科 経済学修士。日本金融学会員。著書に『銀行ゼロ時代』、『地銀消滅』、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』、『超富裕層に「おもてなし」はいらない』など。
SMBCグループ:好調「Olive」が狙うデジタル富裕層
2022年6月からSBIグループと包括資本業務提携を結ぶSMBCグループでは、個人向け金融サービス「Olive」が好調だ。2026年5月には個人向け資産運用助言会社Oliveコンサルティング(東京都江東区)を設立し、最上位カード「Olive Infinite」の提供を開始した。
Oliveコンサルティング
Oliveコンサルティングは、SMBCグループが60%(SMBCグループ10%、SMBC日興証券30%、三井住友銀行20%)、SBIグループが40%(SBIホールディングス10%、SBI証券30%)を出資して設立した。
「マネーフォワードME」と連携した「デジタル資産運用サービス」を提供。アプリ上で保有資産を把握できるだけでなく、専門家が設計した資産配分との比較や、資産推移のシミュレーションなどが可能だ。
また「フレキシブルコンサルティング」サービスでは、Oliveにひも付く資産状況やカードランクに応じて、オンライン面談、チャット、電話、対面相談など複数の相談チャネルを提供する。対面相談はOliveコンサルティングに属するSMBC日興証券、三井住友銀行のアドバイザーが担う。
さらに、SBIグループ傘下のFOLIOと共同開発したサービス利用者限定のファンドラップ「Oliveラップ」の提供も開始している。
Olive Infinite
Oliveの最上位ランク「Olive Infinite」では、決済機能にVisaの最高ランク「Visa Infinite」(年会費9.9万円)を搭載。最大11万円相当の継続特典、SBI証券のカード積立で最大6%ポイント還元の他、メタルカード、コンシェルジュデスク、プライオリティパス、ラウンジサービスなどを提供する。アートや食の会員限定イベントやスポーツの世界大会への招待などのサービスも拡充した。
「Olive Infinite」がターゲットとするのは「デジタル富裕層」だという。仕事も遊びもアクティブ、スマホを使いこなし、自ら情報を収集し、ネットで投資を完結するような人々だ。
こうした一連の取り組みにより、5年後には、資産運用残高10兆円、預金残高10兆円という野心的な目標を掲げている。
Oliveの足元に残る課題 「幕の内弁当」からの脱却なるか
Oliveの金融ワンストップサービスや豊富なカード機能は、他のメガバンクの追随を許さないレベルといえる。
もっとも、こうした「幕の内弁当」的な機能よりも、多くのユーザーにとっては、アプリの使い勝手やポイント還元サービスなどお得感への関心が高そうだ。また、OliveのUIやSMBCグループ内に複数アプリが混在している点に改善余地があると考える。
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