2015年7月27日以前の記事
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クレーム対応ばかりでオペレーターが辞めていく 「カスハラ義務化」時代にAIはどう現場を守る?(1/3 ページ)

簡単な問い合わせをAIに任せた結果、現場に難解なクレームだけが残りオペレーターが疲弊する――。AI導入で起きるコンタクトセンターの皮肉な逆転現象と、カスハラ対策義務化に企業はどう向き合うべきか。世界大手Genesysのアジア太平洋営業責任者に、業務支援AIによる現場防衛術や「65%は人間と話したい」という顧客心理、そしてコスト削減の自動化からCX向上へシフトする運用の要諦を聞いた。

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 「簡単な対応をAIに任せたら、現場には難解なクレーム対応だけが残った」

 AIでコールセンター業務を効率化したはずが、かえってオペレーターが疲弊していく。そんな皮肉な状況がいま、多くの職場で起きている。AIが単純な問い合わせを瞬時に捌く結果、人間の手元には「AIでは解決できない複雑な要求」や「怒りに満ちたトラブル」ばかりが残ってしまうのだ。

 10月には、法改正により企業はカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務付けられ、現場を守るプレッシャーはかつてなく高まっている。

 過酷なクレーム対応の最前線に立つ現場スタッフを、企業はどう守り抜けばいいのか。世界8000超の組織にコンタクトセンター向けクラウド基盤を提供する米Genesysのアジア太平洋営業責任者、アルバート・ネル氏に「現場崩壊を防ぐ処方箋」を聞いた。


米Genesysのアジア太平洋営業責任者、アルバート・ネル氏(写真撮影:河嶌太郎)

個人向けAIの広がりで、顧客は「パーソナライズされた体験」に期待

――コンタクトセンターの運営において、日本の経営層はどんな課題や悩みを抱えているのでしょうか。

 一般的に経営の上層部は、コストの最適化を課題としており、常に効率化の視点で現場を見ていると思います。これは単純に考えれば、センターのオペレーターの数を減らすことになります。

 一方、当社のモデルは、AIと人が協働するものです。AIが過去の購買履歴や問い合わせの文脈を瞬時に分析してオペレーターを支援することで、顧客は「自分のことを深く理解してくれている」と感じます。それによって顧客のロイヤリティ(愛着)が高まり、リピート購買やクロスセルといった収益も生まれます。

 コンタクトセンターは、単なるコストセンター(費用がかかるだけの部門)ではなく、利益を生み出す「プロフィットセンター」へと進化するのです。

 (自社がクライアント企業の経営幹部に提案する際には)「顧客体験(CX)が事業の要」と伝えています。消費者は製品やサービスだけでは企業を評価しません。CXが良ければ、企業の評価が高まります。当社の調査によると、一度悪い体験をすると35%の顧客が離れてしまうという結果が出ています。

 今は多くの消費者が、パーソナルAIを使っています。個人が使うAIは、高度に個人向けに調整できます。自分のことをよく知っていて、過去の問い合わせや購買の履歴も内容も全て把握しています。そのため顧客は、企業にも個人レベルの対応を期待するようになります。

――個人向けAIが、消費者の期待を高めているということですね。では企業のAIは、このまま進化を続ければ、個人向けAIに追いつけるのでしょうか。

 ここには非常に大きな機会があると考えています。

 個人向けAIは利用者のことをよく知っていますが、そのデータはさまざまなシステムに分散しているはずです。当社は、やりとりの文脈や履歴の情報を全て持っており、それらのシステム全体を連携させて動かせます。

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