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クレーム対応ばかりでオペレーターが辞めていく 「カスハラ義務化」時代にAIはどう現場を守る?(2/3 ページ)

簡単な問い合わせをAIに任せた結果、現場に難解なクレームだけが残りオペレーターが疲弊する――。AI導入で起きるコンタクトセンターの皮肉な逆転現象と、カスハラ対策義務化に企業はどう向き合うべきか。世界大手Genesysのアジア太平洋営業責任者に、業務支援AIによる現場防衛術や「65%は人間と話したい」という顧客心理、そしてコスト削減の自動化からCX向上へシフトする運用の要諦を聞いた。

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「簡単な対応をAIに任せる」と残るのはクレーム カスハラ時代の現場防衛

――顧客による悪質な迷惑行為であるカスタマーハラスメントが、日本で問題になっています。企業には従業員を守る責任がありますが、従業員の満足度をどう高めますか。

 そこではオペレーターを支える業務支援AIが力を発揮すると考えています。ChatGPTなどの個人向けAIで、利用者は事前にしっかり対策を調べてから電話をかけてくるようになりました。顧客の知識が高まっています。

 そうした顧客の質問や問い合わせにオペレーターがしっかり答えられるよう、業務支援AIが作る知識ベースをオペレーターに提示し、対応できるようにします。それがオペレーターを守ることにもつながります。オペレーターに自信を付けてあげることが重要です。

――簡単な問い合わせをAIが担うと、人間のオペレーターは難しい対応ばかりを手掛けることになり、かえって疲弊するという声もあります。それは本当に望ましいことなのでしょうか。

 それは運用モデルの話になります。(ジェネシスでは)オペレーターの健康状態は、対応時間がどれくらいか、何時間働いたかといった指標で測定します。

 オペレーターは人と会話しているため、精神的に休む時間が必要です。その休みをいかにして作ってあげるかを考えながら運用しています。

AI自動化が進む一方で……「やっぱり人間と話したい」というニーズ

――さまざまな競合がAIを活用することでコンタクトセンターの在り方を変えようとしていますが、その中でGenesysの強みはどこにあると考えていますか。

 当社の強みはプラットフォームです。長い年月をかけて、応対ログ、感情データ、行動履歴などCXに関連するデータを積み上げてきました。その各要素を全て、当社のプラットフォームに組み込んでいます。

 音声でもSNSでも、他のデジタルチャネルでも、どの接点でも同じ1つのプラットフォーム上で、顧客の状況を踏まえて対応できます。この点が、プラットフォーム自体の強みです。

――これだけAIが進化すると、経営層は「完全に人を排除した無人化コールセンター」を考えがちかと思いますが、御社はそこを目指しているのでしょうか。

 人を排除するのではなく、AIを人のアシスタントとして使いたいと考えています。

 例えば当社が提供する業務支援AIには、要約機能があります。その要約を人間のオペレーターが見て、役に立つ知識として活用できます。AIによるバーチャルエージェントは、自動化といったシンプルな作業に使います。複雑な作業は人間に任せるという形で、役割を分けています。

――まるで人間のような流暢なAI音声対話が登場し、米国では、AIが相手をしていても顧客が気付かないケースがあると聞きます。こうした「完全なAI対話」が日本の顧客対応でも主流になっていくとお考えですか。

 そうした体験は、これからどんどん増えると思います。当社のバーチャルエージェントも、本当に人間と話しているような水準にあります。

 ただ、当社のCXレポートによると、AIと話していると分かっていても、顧客の65%は、なお人間と話したいと答えています。AIと話すこと自体は問題ありませんが、重要な場面だけは人間と話したいという要望を持つ人が多いのです。

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