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クレーム対応ばかりでオペレーターが辞めていく 「カスハラ義務化」時代にAIはどう現場を守る?(3/3 ページ)

簡単な問い合わせをAIに任せた結果、現場に難解なクレームだけが残りオペレーターが疲弊する――。AI導入で起きるコンタクトセンターの皮肉な逆転現象と、カスハラ対策義務化に企業はどう向き合うべきか。世界大手Genesysのアジア太平洋営業責任者に、業務支援AIによる現場防衛術や「65%は人間と話したい」という顧客心理、そしてコスト削減の自動化からCX向上へシフトする運用の要諦を聞いた。

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オンプレからクラウドへ 日本企業の現在地

――Genesysは日本市場を、グローバル市場と比べてどう見ていますか。

 成長市場という点では、日本が当社にとって最も重要な国です。今後も日本への投資を続けます。人材への投資だけでなく、インフラへの投資も続けていきます。現在は東京と大阪にデータセンターを置いています。

 政府機関への対応のため、政府情報システムのセキュリティ評価制度「ISMAP」(イスマップ)のクラウドサービスリストへの登録も果たしました。東京と大阪の国内2拠点ともに、政府が求める厳格なセキュリティ基準をクリアしています。

 世界中のさまざまな分野で事業は伸びていますが、その中でも日本の伸び率は非常に顕著です。2025年は特に伸びました。当社の投資が報われている証拠だと考えています。

 日本の顧客では、オンプレミス(自社で設備を持って運用する形態)からクラウドへ移行する企業が増えています。クラウドへの移行が進むと、クラウド上のサービスにいかにしてAIを組み込むかが課題になります。当社としても、AIの活用は大きく増えているとみています。

――日本企業のAI導入に、独自の傾向はありますか。

 当初は業務支援AIや、アシスタント型AIの利用が多く見られました。しかし今は、多くの顧客が、顧客対応を自動で担うAIエージェントの導入を進めようとしています。当社でも、自ら判断して動くAIエージェントの実証を始めたところです。

――Genesysが今後、特にチャンスがあると見ている業界や分野はどこでしょうか。

 銀行も証券会社も、コールセンターを持っています。CXを高めて顧客を獲得しようとする競争が激しく、それが今は電力会社にも波及しています。電力会社も大きなコンタクトセンターを持っているからです。

 ヘルスケア(医療)の分野にもチャンスがあるとみています。また、政府関係では地方の行政機関もこれから伸びてくる分野と考えています。


「成長市場という点では、日本が当社にとって最も重要な国」と語るネル氏

カスハラ対策の義務化が転換点に

 以上がインタビュー内容だ。AIが進化し、効率化を追求できるようになればなるほど、最後に顧客の心を動かし、ブランドへの信頼を決定づけるのは「人間の共感力」となる。

 コスト削減のための自動化か、それとも人間を守るためのAI活用か。カスハラ対策の義務化という転換点は、企業が「真の顧客体験とは何か」を問い直す機会となりそうだ。

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