“緊急メンテの夜”までの一部始終は? 8月にAIで「PHPの重大な脆弱性」発見→OpenAIが即応チームを招集(1/3 ページ)
10月21日夜に始まった企業の「緊急メンテナンス」。その原因である「PHPの脆弱性」を発見したのは、OpenAIのAIモデルだった。一連の出来事について時系列を追う。
高性能化するAIを巡り、サイバー攻撃の高度化に悪用しようとする側と、それを防御するためにAIを活用しようとする側との間で、新たな攻防戦が繰り広げられている。
その一例が、10月21日夜(日本時間、以下同)に多数のITサービスが「緊急メンテナンス」に入った“騒動”だ。防御側は2026年夏、放置すればインターネットに公開されているWebサイトの70%を停止させかねない重大な問題を、AIで特定した。この件で、攻撃者側に一歩リードできたと期待している。
発見されたソフトウェアの欠陥に対する修正パッチも公開された。しかし、悪意あるハッカーがこの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用してWebサイトを攻撃し、重要なデータを盗み出すのが先か、Webサイトへのパッチ適用が間に合うのが先かは、依然として不透明だ。
関連記事:【一体何が?】21日夜に「緊急メンテナンス」続々 業務ツール、ソシャゲ、通販、自治体Webサイトなど
PHPの脆弱性を「恐れるべきだ」 注意喚起が続々、高市首相も
ほとんどのWebページは「PHP」というオープンソースのプログラミング言語を使っている。この言語は、非営利団体であるPHP Foundation(PHP財団)が保守・管理している。同財団は今回、2件の「重大なソフトウェア脆弱性」を公表し、緊急の修正パッチを10月21日午後11時に公開した。Webサイトの運営者に対し、直ちにパッチを適用するか、対応が完了するまでサイトを停止するよう強く求めている。これらの脆弱性には、それぞれ「CVE-2026-109618」と「CVE-2026-109619」という識別番号が付与され、総称して「php2shell」と呼ばれている。
パッチの正式公開に先立ち、脆弱性に関する報道が広がると、これに便乗した一部の攻撃者が悪用を試みた。数百万のWebサイトに対してセキュリティ保護を提供しているサイバーセキュリティ企業の米Cloudflareのデーン・クネヒト氏(CTO:最高技術責任者)によると、すでに「初期段階の攻撃」を確認し始めているという。
ただし、侵害に成功した事例は、現時点ではまだ限られており、状況も流動的だ。しかし、あるスタートアップ企業の経営者は、PHPのバグについて「極めて深刻だ」と報告し、誰もが「恐れるべきだ」と述べた。同氏が念頭に置いているのは、攻撃者にソースコードを盗まれたほか、ユーザー識別用データ「Cookie」(クッキー)を暴露され、法的文書も流出させられたという事案だ。
ロイター通信(英Reuters)によれば、オランダやフィンランドの複数の政府機関が、安全上の予防措置としてWebサイトをオフラインにすることを決めた。米連邦捜査局(FBI)のサイバー部門と米国家安全保障局(NSA)は、影響を受ける可能性のある組織に対し、システム更新を促す声明を発表。日本の高市早苗首相、欧州連合(EU)のコンピュータ緊急対応チーム、その他複数の国の機関も同様の注意喚起を行った。
MicrosoftやWikipediaも使う「PHP」とは何か?
「PHPの脆弱性が及ぼす影響は甚大であり、適切な時期にパッチを適用できなければ、数多くのWebサイトが直ちに攻撃を受ける危険にさらされる」――イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校グレインジャー工学部でコンピュータサイエンスを専門とするギャング・ワン准教授は雑誌『フォーチュン』(Fortune)にこう語った。
このバグを悪用すると、攻撃者はパッチ未適用の脆弱なPHPシステム上で、遠隔から任意のコードを実行できる。攻撃者はこれを「そのマシンがつながっているネットワークへの侵入経路」として利用し、そこから重大な被害をもたらす攻撃を仕掛ける可能性があると、イリノイ大学のInformation Trust Institute(情報信頼研究所)のデビッド・ニコル所長は説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
関連記事
【一体何が?】21日夜に「緊急メンテナンス」続々 業務ツール、ソシャゲ、通販、自治体Webサイトなど
10月21日夜に「緊急メンテナンス」の実施を発表する企業が相次いでいる。対象サービスは、業種業界を問わない。いったい何が起きているのか。
「PHP」の修正パッチ配布開始、緊急メンテ相次ぐ Webサイトの7割が使うプログラミング言語の欠陥で
Webサイトで広く使われているプログラミング言語「PHP」で見つかった重大な欠陥を巡り、運営団体は10月21日深夜(日本時間)、修正プログラム(パッチ)をウェブサイトで公開した。
不正アクセスで「大量の個人データが漏えい」 個人情報保護委員会が注意喚起、企業が今すべき対策は?
国内でセキュリティ事案が相次ぐ中、個人情報保護委員会が不正アクセスに対して注意喚起をした。事業者が取り組むべき対策、その中身とは。
「情シスだけの問題でない」「必要な投資を」 国家サイバー統括室、相次ぐ不正アクセスに見せた“危機感”
国内で相次ぐ不正アクセス被害を踏まえて、国家サイバー統括室が「注意喚起」を公表した。企業の対策ポイントを提示するとともに「情シスだけの問題でない」「経営層は必要な投資を」と呼びかけるなど“危機感”を示した。
【不正アクセス10月1〜9日】焼肉きんぐ1078万件、ローソン215万件、JR東206万件など(発表まとめ)
不正アクセスの被害が相次いでいる。10月も連日報道があり、焼肉きんぐ公式アプリの会員情報1078万件、ローソンIDなど215万件、JR東日本の会員情報206万件などが漏えいした可能性がある。10月1〜9日までの発表をまとめた。
