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テレワークで“サボる”若者たち 予約送信、在席マーク駆使した「静かな休暇」、悪いのは本人か上司か会社か:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/3 ページ)

有給を取らず、働いているふりをして私的な時間を過ごす「静かな休暇」が注目されつつある。個人のモラルの問題とするのではなく職場に潜む原因を考え、管理職が見直したい視点を提示する。

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なぜ社員は「隠れて」休むのか

 では、なぜ社員は隠れて休むのだろうか。主な原因は以下の3つが考えられる。

(1)休みを申請すると、不利益を受けると感じている

(2)仕事をカバーしてくれる同僚に、罪悪感を抱いている

(3)在席時間でしか評価されていない

 それでは、一つ一つ解説していこう。

 (1)の「休みを申請すると、不利益を受けると感じている」というのは、評価への恐れである。ハリス・ポールの幹部は「静かな休暇」を職場の深い問題の症状だと指摘している。社員が不利益を恐れて必要な休みを堂々と取れない――その表れだというのだ。病気そのものではなく、病気のサインだという捉え方である。

 (2)の「仕事をカバーしてくれる同僚に、罪悪感を抱いている」というのは、日本で特に強く働く心理だ。自分が休めば誰かにしわ寄せがいく。その構図が見えているから、申請をためらう。属人化した職場ほど、この罪悪感は重くなる。

 (3)の「在席時間でしか評価されていない」というのは、評価の物差しの問題だ。成果ではなく、席にいるかどうかで測られる。そう感じていれば、社員は「席にいるように見せる」ことに労力を使い始める。評価の基準が、行動を生み出してしまうのだ。

 付け加えると、この3つは複雑に絡み合っている。評価への恐れと同僚への罪悪感があるから、正規の申請ができない。嘘をついて隠れて休むことで、かえって罪悪感が募る。そして、ますます有給を言い出せなくなる――という悪循環である。

部下の監視を強めても、空気は変わらない

 では、どうすればいいのか。リモートワークで「働いているふり」が増えれば、上司は監視を強めたくなる。カメラをオンにさせる。離席時間を記録させる。しかし、これは逆効果になりかねない。

 米国の広告代理店カーブ・コミュニケーションズのデビッド・バーコーCEOは、それとは逆のことを説いている。どこにいても仕事をやり遂げると、採用した瞬間から社員を信頼する――このカルチャーこそが、隠れた休みを防ぐというのだ。

 バーコーCEOは、社員が「静かな休暇」を取る理由を、雇用主に信頼されておらず、敬意も払われていないと感じているからだ、と考える。

 実際、同社では無制限の有給休暇制度が機能しているという。社員が休暇を取ることを、経営陣が積極的に勧める。それを聞いた社員は、こそこそ休む必要を感じなくなる。「これは完全にカルチャーが主導している」とバーコーCEOは語っている。

 フレキシブルな文化では仕事が回らなくなるのではないか。そう心配する管理者もいるだろう。しかし、バーコーCEOは「小さな組織では、職務を遂行していない場合、それを隠すのはかなり難しい」と語る。そして、それをうまく利用する人がいたとすれば、その人はおそらくチームの一員としてふさわしくないだろう、とも付け加えている。

 必要なのは、監視ではなく、休みを申請しやすい空気だ。具体的には、以下の3つだ。

(1)上司が先に休む

(2)休む人の仕事を、チームで当たり前に引き受ける

(3)在席時間ではなく、成果で評価する

 (1)の「上司が先に休む」は、何より効果が大きい。上司が一度も休まない職場で、部下が気持ちよく休めるはずがない。空気をつくるのは、いつも身近な上司である。

 (2)の「休む人の仕事を、チームで当たり前に引き受ける」は、罪悪感を減らすための仕組みだ。誰かが休むたびに特別な調整が必要なら、休みは特別な出来事のままである。普段から仕事を見える状態にしておくことが前提になる。

 (3)の「在席時間ではなく、成果で評価する」は、最も時間のかかる取り組みだろう。それでも、ここを変えなければ、社員は「働いているふり」を工夫し続けることになる。

 隠れて休む社員が増えたとき、まず疑うべきは社員のモラルではない。自社の「休みにくさ」である。部下が本当に働いているのかどうか不安を覚えている上司は、監視を強める前に、こう問い直してみてほしい。自分の部署では、誰もが堂々と「明日休みます」と言えているだろうか、と。

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