人件費なんと「年270億円」増加! JR東“本気の人事制度改革”の中身:2025年10月のヒット記事を振り返る(2/2 ページ)
JR東日本が、人事・賃金制度を大改革する。年間の単体人件費を270億円以上増額し、10年先を見据えた新制度を打ち出した。制度の詳細を広報担当者に聞いた。
不規則勤務やキャリア設計も見直し
鉄道業務には、泊まりや夜間作業といった不規則勤務や、仕事に合わせたライフスタイルといった「当たり前」が存在する。こうした当たり前にも着目し、勤務制度を改革する。
勤務体制は、不規則勤務を前提とせず、基本は日勤に移行。その中でも残る不規則勤務については、既存の「午後10時〜午前5時」に加え、「午後6〜8時」「午後8〜10時」の特定時間割増手当を追加する。「社員に分かりやすい支給形態とすることも踏まえ、これまでの深夜帯よりも広い時間帯に対し手当を支給することにしました」(広報担当者)
同社では組織再編により、同じ事業本部内でも、業務により所定労働時間・年間休日数がそれぞれ異なるという状況が発生していた。こうした状況を解消するため、職種ごとに異なっていた労働時間・休日数を統一し、年間の所定労働時間も短縮。これまでは、駅などの現業機関の1日あたり労働時間が7時間30分(休日数114日)、乗務員が7時間10分(同114日)、企画部門などが7時間40分(同120日)と職種ごとに異なっていたが、全て7時間20分(同120日)に統一した。
また、従業員のキャリア設計も見直した。これまでは職場マネジメントを担う「管理者」を目指すことが当たり前とされていたが、今後は管理者ルートに加え、オペレーションの高度化や技術面での人材育成を担うテクニカルリーダー職、技術サービス企業としての研究・開発を担うフロンティアスタッフ制度などを設置。複線型の人事運用を拡充する。定年退職年齢は65歳に引き上げ、65歳以降就労希望のある社員に対し、70歳までの再雇用制度を新設するなどシニア活躍にも注力する。
人事・賃金制度の改正は、一部を除き2026年4月1日の実施を予定している。今回の大改正について、社内からは「頑張った分だけ評価され、処遇にも反映される賃金制度となりモチベーションが上がる」「賃金体系がシンプルになり、分かりやすくなった」といった前向きな意見が多く寄せられているという。
一方で「今後の能力昇給において、きめ細かな評価をどのように行っていくのか」など新たな制度に戸惑う社員も存在するとのこと。こうした社員の不安解消に向け説明会を実施するほか、新制度への移行に当たり、研修など管理者に対する十分なサポート体制を構築して進める方針だ。
1年前の10月に公開したヒット記事を振り返る:
ITmedia ビジネスオンラインが2025年10月に公開した記事で、反響が大きかった記事を編集部が厳選して再掲する。初出は2025年10月31日、文中の記述は掲載当時のまま。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
コニカミノルタ、「社内副業」開始の狙い 月20時間で「10万円」、運用して見えてきた“想定外のメリット”とは
コニカミノルタは7月、社員が現在の部署に所属したまま、他部門の業務に携わる「スキルシェア制度」を導入した。月20時間の業務に対し、10万円の手当を支給する。社内の専門人材を部門横断で活用する狙いだ。
【主張】そもそも正社員という呼び名をやめよう――竹中平蔵氏「正社員をなくせ」を受けて
「正社員をなくせばいい」。慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏がXで発信したことが、賛否両論を巻き起こした。そもそも「正社員」や「非正規社員」という言葉に法律上の定義はない。曖昧さを伴う観念的な議論の中で取り残されている雇用の現状を考えてみたい。
「給料、自分で決めていいよ」 組織図も稟議もない老舗石鹸メーカーが、管理ナシで成果を出せる理由
社員が自ら希望する給与額を会社に提示する――。そんな「自己申告型給与制度」を導入する老舗メーカーがある。組織図も職種定義書もなく、それでも高い生産性を維持する木村石鹸工業の組織づくりから、人事評価の新たなヒントを探る。
「頑張る人が損をする」 増える「静かな退職」、社員の“自己犠牲”にタダ乗りしてきた企業が見直すべき8つのこと
「静かな退職」は個人の怠慢ではなく組織のゆがみへの防衛反応だ。精神論を脱し、社員が正当に報われる環境へと導く「8つの具体策」と実務に役立つ組織の診断項目を提示する。
給与上がらず、責任と仕事だけが増加 「静かな昇進」をさせる“危険な職場”の大問題
「給料は変わらないのに、仕事だけが増え続けている」「役職は変わらないのに、後輩の育成がタスクに加えられた」といったような相談がこの数年で増えています。年齢は30代がほとんどです。ひょっとすると、あなたも似たような状況に陥っていませんか?
