GMO謝罪会見、なぜここまで炎上?【危機管理のプロが徹底解説】(2/5 ページ)
不正アクセス問題で開かれたGMOインターネットグループの緊急記者会見。3時間超に及ぶ長丁場のなか、熊谷正寿代表の「命の砂時計」発言や社員への叱責など会見運営での対応が批判を浴びた。だが、外野から失点を採点しても意味はない。なぜ被害者感情とズレた会見が許されたのか、なぜ誰もトップを止められなかったのか。強いリーダーを擁する企業が直面する「危機管理広報と組織防衛の死角」を、専門家の視点から解き明かす。
単なる進行係ではない 無用なピリつきを防ぐ「司会の振る舞い」
危機対応の会見で司会を務めるには、通常のイベントとは違う力が求められます。謝罪や説明会見では、予定外の質問が出ることを前提に進行を組み立てなければなりません。
スポークスパーソンが質問に答えられていないとき、どう論点を整理するか。技術的な説明が必要になったら、誰に引き継ぐか。回答の途中で新しい事実が出てきたら、どのタイミングで補足するか。記者の質問を遮らず、回答者にも無理をさせず、会見の目的を見失わないように舵を取る。それが本来の司会者の役割だと考えます。
司会者は、経営者の言葉を右から左へ取り次ぐだけの存在ではありません。経営者が必要な説明に集中できるよう支え、社会が求める情報をきちんと届けるための進行役です。なかでも大切なのは、会場を必要以上にピリピリさせないことだと考えます。
会見をスムーズに進めることと、厳しい質問を封じることは、全く別の話です。事実を明らかにするための緊張感は欠かせませんが、運営のまずさから生まれる無用な緊張は、できるだけ減らしたほうがいい。
こうした会見の司会には、段取りの力だけでなく、メディアへの理解と危機対応の知識が欠かせないと考えます。
「ボタンをしめてください」 経営者の所作から人は社風を見透かす
今回の会見では、熊谷代表がスタッフや同席した役員に注意する場面も報じられました。
質疑応答の途中で説明資料がうまく映らなかったときには、すぐに表示できるよう準備しておくようスタッフに指示しました。また、別の情報管理の問題について説明しようとした担当責任者には、上着のボタンをしめるよう促す場面もありました。
謝罪の場にふさわしい服装を求めるのは理解できますし、記者を待たせないよう資料を早く出してほしいと思うのも自然なことです。ですから、こうした場面だけを切り取って、経営者の人柄や企業風土を決めつけるのは適切ではありません。
ただ、危機管理広報の立場からは、もう一つ考えておきたいことがあります。それは、経営者が何を意図して言ったかと、それが外からどう受け取られるかは、必ずしも一致しないということです。
社内ではごく普通のやりとりでも、記者会見の場では社会へのメッセージの一部になります。経営者が社員を強い口調で注意する姿を見れば、見ている人はそこから普段の上下関係や組織の空気を想像するかもしれません。それが実態を正しく映しているとは限りませんが、そう受け取られる可能性はあるのです。
会見では、話の中身だけでなく、表情、口調、視線、部下への接し方、質問への反応までもが、企業の姿勢として伝わります。
メディアトレーニングと聞くと、想定問答を使ってうまく答える練習を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、本当に必要なのは、正解を暗記することではなく、自分の言葉や振る舞いが第三者にどう見えているかを客観的につかむことです。
職位が上になればなるほど、社内で自分の振る舞いについて率直な意見をもらう機会は減っていきます。だからこそ、平時のうちに自分のコミュニケーションを外から眺めてみる時間に意味があるのです。
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