「レミーのおいしいレストラン」+D Style 最新シネマ情報

» 2007年07月20日 09時00分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo ©WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

 ピクサー&ディズニーの最新作「レミーのおいしいレストラン」はグルメの街パリにふさわしい、高級レストランで繰り広げられる人間とネズミの友情物語だ。

 一流レストラン「グストー」に亡き母の紹介状を頼りに職を求めてやってきた青年リングイニ。見習いシェフとして採用されるが、彼はドジで料理の才能はゼロだった。ある日、リングイニはつまずいた拍子にスープを台無しにしてしまう。それを見ていたのは、家族とはぐれ、パリの街をさまよっていたネズミのレミー。天才的な味覚と嗅覚を持ち、シェフを夢見るレミーは急いでスープの味を修正し、それがお客さんに大絶賛される。レミーが人間の言葉を理解することを知ったリングイニは、一緒にパリ一番のシェフを目指すことに。

 改めてブラッド・バード監督(「Mr.インクレディブル」「アイアン・ジャイアント」)の才能に感服。2人の友情をベースにしながら、女性シェフ・コレットとリングイニとの恋愛模様、フランス料理界で最大の権力を持つ辛口料理評論家イーゴとの対決、レミーの謎をかぎまわる儲け主義の料理長スキナーの陰謀、レミーの身を案じる家族との絆など、いくつもの題材を丁寧かつ鮮やかに料理している。

 ネズミが厨房にいたと分かっただけでもレストランにとっては致命傷。なので、バレないように悪戦苦闘するリングイニの姿が緊張感たっぷりの笑いを生み、人間に発見された途端に追い回されるレミーの逃亡シーンにはアクションさながらのワクワク感を堪能。

 レストラン「グストー」の亡くなったシェフの著書が「誰でも名シェフ」。誰でも名シェフになれる、つまり偏見にも負けずチャレンジすることの大切さがテーマになり、予想通りのエンディンクでも涙、涙。

 湯気が立ち上るスパイスが効いたスープ、野菜のうまみを凝縮した田舎料理ラタトゥーユ(原題にもなっている)と、空きっ腹を刺激するごちそうも目でタップリ味わえる。料理が美味しそうに見える映画に外れなしと個人的に思っているが、本作も期待を裏切らない、5つ星のアニメである。

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レミーのおいしいレストラン

監督・脚本:ブラッド・バード/製作総指揮:ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン

声の出演:パットン・オズワルト、ルー・ロマーノ、イアン・ホルム、ジャニーン・ガロファロー

配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)

2007年7月28日より日劇3ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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