コラム
» 2007年11月07日 09時30分 公開

「マイティ・ハート/愛と絆」+D Style 最新シネマ情報

ジャーナリストの夫の生還を信じ続けた、同業の妻マリアンヌの手記を基にした社会派作品。アンジェリーナの迫真の演技が印象的だが、群像劇としても優秀。結末は分かっていても、祈るような気持ちで見てしまう1本。

[本山由樹子,ITmedia]
photo (C) 2007 Paramount Vantage. All Rights Reserved.

 2002年、米紙報道特派員として、パキスタンのカラチに滞在していたジャーナリストのダニエル・パールと妻マリアンヌ。マリアンヌは妊娠5カ月で、最後の取材を終えたら、2人は帰国の予定だった。ところが、ダニエルは取材に出かけた直後、行方不明になってしまう。

 彼の取材相手はイスラムの宗教的指導者の1人だった。マリアンヌのもとに、現地のテロ対策組織、アメリカ領事館、FBIなど国籍を超えて多方面の捜査関係者が集まってくる。地道な捜査が続けられる中、テロリストから連絡が入り、人質になっているダニエルの写真がメールで送られてくる……。

 夫ダニエルの生還を信じ待ち続けた、同じくジャーナリストの妻マリアンヌの手記「マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死」を基にした社会派作品。

 映画化の権利を得たのはブラッド・ピット率いる製作会社プランBエンタテインメント。そして主人公マリアンヌを演じるのは、彼のパートナーでもあるアンジェリーナ・ジョリー。

 マリアンヌは、押し潰されそうな悲しみに耐えながら気丈に振る舞い、事件が最悪の結果を迎えても、誰も攻めようとせず、寛容な心(マイティ・ハート)を示す。そんな強い信念を持つマリアンヌとは、映画化の前から面識があったというアンジェリーナ。褐色の肌にカーリーヘア、フランスなまりの英語を話すなど、すっかりなりきっての迫真の演技が印象的だ。といっても、この映画はアンジェリーナ1人の映画ではなく、事件解決に奔走する人々にもスポットを当て、群像劇としても優秀である。

 舞い上がる土煙、迷路のように入り組んだ道、無秩序に渋滞を作る車、うごめく人々。手持ちカメラが混沌としたパキスタンの街を捉え、そこに迷い込んでしまった異邦人の心も伝えているようだ。

 マイケル・ウィンターボトム監督の演出も冴え渡り、たとえ結末は分かっていても、祈るような気持ちで見てしまった。

 本作を気に入った人には、ボスニア内戦を背景にした「ウェルカム・トゥ・サラエボ」やパキスタンの難民キャンプで暮らす少年がイギリスを目指す「グアンタナモ、僕たちが見た真実」など、ウィンターボトム監督の過去作品も見てほしい。

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(C) 2007 Paramount Vantage. All Rights Reserved.

マイティ・ハート/愛と絆

監督:マイケル・ウィンターボトム/脚本:ジョン・オーロフ

出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビ、イルファン・カーン

配給:UIP

2007年11月23日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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