「アイアンマン」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年08月07日 13時10分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C)2008 MVLFFLLC. TM &(C)2008 Marvel Entertainment. All Rights Reserved.

 5月2日に全米公開されるや驚異的な大ヒットを記録し、興行収入3億ドルを突破した「アイアンマン」。原作はマーベル・コミック。まさかロバート・ダウニーJR.がアメコミ・ヒーローを演じる日がくるとは思わなかったが、この映画ははっきりいって面白い。最高なのだ。

 米国政府と契約を結ぶ兵器会社スターク・インダストリーズを他界した父親から譲り受けたトニー・スタークは、発明の天才でもあった。彼はある日、政府とのパイプ役を務める親友の空軍将校と共に、ジェリコ・ミサイルと呼ばれる新兵器を披露するためアフガニスタンへ。だが、そこでテロリスト集団に襲撃され、拉致されてしまう。胸に刺さった爆弾の破片により瀕死の重傷を負うが、同じく捕らえられていた医師の治療を受け、人工心臓を移植され一命を取りとめる。

 テロ一味は拘束したスタークにジェリコ・ミサイルを製造させようとするが、スタークは武器を作っているように見せかけ、ありあわせの材料を使って飛行可能な着脱式のパワードスーツを作り上げる。それを身につけ、テロ一味を一網打尽にし、脱出に成功。砂漠をさまよっていたスタークはアメリカ軍に発見され、無事帰国を果たす。そして兵器産業からの撤退を発表するが、それを快く思わない者がいた……。

 主演のロバート・ダウニーJR.の持つ雰囲気が好きで、「レス・ザン・ゼロ」のころから目をつけていた。その後「チャーリー」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ演技力には定評があったが、ドラッグ関係で何度か逮捕され、一線から退くことに。だが、彼の俳優生命が絶たれることはなく、「ゾディアック」や「スキャナー・ダークリー」など精力的にフィルモグラフィーを増やしている。今回、ダウニーとスタークの個性が見事にマッチし、あれよあれよという間にキャラクターに引き込まれていく。

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 スタークの親友役としてテレンス・ハワード(「クラッシュ」)、秘書役としてグウィネス・パルトロー(「恋におちたシェイクスピア」)が脇を固めている。この2人、スタークの気まぐれにいつも振り回されているせいか、何か問題が起きても「またか」くらいの感じで、決して動じないから面白い。彼らのユーモアたっぷりのセリフ、大人な対応も楽しいのだ。

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 この映画の最大の見どころは、パワードスーツが完成する過程がきちんと見られることだろう。スーツは3段階にバージョンアップ。プロトタイプはジェット噴射で空を飛ぶだけだったが、次は軽量化して音速で飛ぶ装置をプラス。さらにスーツ表面の氷結対策を施して、赤とゴールドを基調にした完成形に至るのだ。しかもスタークのオールハンドメイド。「バットマン」のブルース・ウェインとの違いは、財力と知能を使って、自分で武器もスーツも作ってしまうこと。そんなところに味があるのだ。スタークは常に改良を重ねているので、続編では更にバージョンアップしたアイアンマンを期待できそう。

 ステルス戦闘機とチェイスを演じたり、メカとガチンコ勝負に出たり、スペクタクルシーンは息もつかせぬ展開。さらに、スタークが自身の過ちに気づき、償いをするというドラマ部分もうまくエンタメ化している。クレジットロールの後も、ある有名俳優が演じる人物が出演。これは今後マーベル社が映画化することになっている作品の布石になっている。

 アメコミだからといって敬遠してはもったいない、娯楽大作としてデートムービーに大いに活用しよう。

アイアンマン

監督・製作総指揮:ジョン・ファヴロー

出演:ロバート・ダウニーJR.、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス、グウィネス・パルトロー

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

9月27日(土)より日劇3ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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