-コデラ的-Slow-Life-:カメラ修理にひと工夫(2)

カメラの故障原因は電気的なものと機械的なものに大別されるが、機械的な故障は簡単な掃除で直ってしまうものも少なくない。しかも専用の道具ではなく、身の回りの意外なもので修理していくのも楽しいのだ。

前回までの記事

カメラ修理にひと工夫(1)

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最近は分解・修理工具を取り扱うところが増えてきているが、専用の工具は非常に高い。もっとも専用工具でなくても、実はその辺に売っているもので代用できるものも多い。今回は一息入れて、修理道具の話をしよう。



 カメラの修理は、電気的な問題による故障と、機械的な問題による故障に大きく分けられる。電気的な故障はかなり分解を進めなければならないが、機械的な故障は簡単な掃除だけで直ってしまうものも少なくない。

 古いカメラが機械的にちゃんと動かなくなる原因の多くは、機械油が固まってしまうからだ。「シャッターねばり」などと書いてあるジャンクは、大抵がそれである。その場合は、固まった油を洗浄してやる必要がある。よく利用されるのは、ライターでおなじみの「ジッポオイル」だ。揮発性が高いために、すぐ乾いてカメラ内部に溜まらない。


photo 香水詰め替えキットとして100円で売られているスポイト

 ただしそのままだとどばっと出てしまうので、筆者は100円ショップで買ったスポイトを利用している。香水の詰め替え用の道具として売られているものだ。これで少しずつ固着した油を溶かしていく。

 ジッポオイルのクリーニングでシャッターが動くようになると、大抵はレンズを掃除する羽目になる。なぜならば、シャッターが元気よく動くようになると、その反動でジッポオイルや溶け出した油が飛び散って、レンズを汚してしまうからである。


photo レンズメンテの定番、HCLのクリーナーとクリーニングペーパー

 筆者が好んで使っているのは、HCLのレンズクリーナーとクリーニングペーパーだ。クリーニングペーパーは、そのまま手に持ってレンズを拭いてはいけない。手の脂が紙を抜けてレンズに付いてしまうからである。筆者は割り箸の先にクリーニングペーパーを巻き付け、そこに少量のクリーナーを付けて掃除している。

 汚れのひどいレンズは、最後に拭きあとが残ってしまうことも多い。その場合は、布製のクリーニングクロスで拭き上げている。これも同じく手の脂が付かないように、割り箸の先に巻き付けて円形にクリーニングを行なう。

意外なものが使える


photo 薬容器を使って分解パーツをステップごとに小分けする

 100円ショップには、カメラ修理に使えるものが多い。例えば薬を一週間分小分けしておく容器というのがあるが、これはカメラを分解していくときに、1ステップずつパーツを分けておく時に便利だ。組み立てるときは、逆順にパーツを拾っていけばいいだけである。

 一方でカメラ専門店にしか売ってないが、あった方がいいものも多い。その一つが、筆者が個人的に「とんがり綿棒」と呼んでいるもので、HCLの先細型綿棒である。これは通常の綿棒と違って先端を堅くとがらせてある。ここにクリーナー液やジッポオイルを含ませて、細かい部分の掃除を行なうのである。綿棒ではあるがそこそこの強度もあるので、こびりついた汚れなども落とせる。


photo 細かい部分の掃除に便利な「とんがり綿棒」

 カメラの外装部には、レンズの絞りリングやシャッターダイヤルなど、こまかいギザギザの溝が付いた部品が多い。こういう溝を一つ一つとんがり綿棒で掃除していくと埒があかないので、筆者は別のものを使っている。

 それは「海藻パック」である。筆者がよく使っているのは、ウテナの「リフタージュ フェイスアップパック」というやつで、少し大きめのドラッグストア2〜3件回れば、大抵はどこかに置いてある品である。


photo 細かくて数が多いところには「海藻パック」が便利

 これを溝部分に爪楊枝などで塗る。隙間に入り込まないよう注意しなければならないが、塗りつけ量が少ないと相手は金属なので、液体をはじいてしまう。加減しながら少しずつ塗っていく。

 乾燥するまで30分ほど放置すると、カチカチに乾いてぱりぱりと取れるようになる。要するに小鼻脇の毛穴パックと同じ要領で、細かい溝に入り込んだ汚れも一緒に剥がれるわけである。

 溝だけでなく、シャッタースピードや絞り値などの文字部分に使うと、汚れて煤けた文字もびっくりするほど綺麗になる。こういう部分を先の尖ったもので掃除すると、流し込まれた塗料まで剥がしてしまうことも少なくないが、この方法なら比較的安全である。

 元々このパックは顔に塗るためのものなので、少量ずつ小分けされている。しかしカメラ部品は顔より小さいので、大抵は余ってしまう。だが余った液は、空いたフィルムケースに移してパチンと蓋を閉めれば、固まることもなくいつでも使える。

 専用の道具を使うのではなく、身の回りの意外なものを使って修理していくのは、発見に満ちあふれていて楽しいものだ。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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