「まいばすけっとに、ガチンコ勝負を挑む気なのでは?」
11月、都内初進出を果たした小型スーパー「TRIAL GO(トライアルGO)」を初めて訪問した際、筆者が抱いた感想だ。
「まいばすけっと」(以下、まいばす)はイオン系列の小型スーパーで、首都圏を中心に1200店舗以上を展開している。ここ10年で店舗数が倍増しており、勢いのあるチェーンだ。
一方、トライアルGOは、福岡を中心にディスカウントストアを展開するトライアルホールディングス(HD)が運営している。今後も都心部で積極的に出店する方針だ。業態が似ている両者は競合関係にある。
筆者は小売りや外食関連を取材する記者である同時に、2児の父親だ。フルタイムで働く妻と家事を分担しており、近所のまいばすには2日に1回のペースで通っている。まいばす常連客の目線から、トライアルGOを実際に訪れて感じたことをリポートする。
まず、まいばすについて簡単に説明しよう。まいばすは、コンビニサイズの店舗で、野菜や肉といった生鮮食品、総菜、弁当、飲料、日用品などを扱う。弁当・飲料がコンビニより安く、生鮮の品ぞろえは日常的な料理には十分というレベルだ。弁当類を600円以下で販売し、コンビニのように利用する客も多いことから、「コンビニキラー」と呼ばれている(出所:都内に進出「トライアルGO」は「まいばすけっと」の牙城を崩せるのか 実店舗を訪問して分かった「強み」)。
主な立地は住宅街、ビジネス街、マンションの1階だ。まいばすの公式Webサイトでは「1店舗の商圏は約3分と狭く、近隣にお住まいの方に多くご利用いただいています」「自宅や職場からすぐに足を運べる『地域の冷蔵庫』として都市部で暮らす人たちの生活を支えます」という記述がある。また、都市部を中心に、高齢化が進み、共働き世帯や単身世帯が増加していることに対応した業態としている。
筆者は都内の住宅街に住んでいるのだが、まいばすが歩いて数分の場所にあり、「駅前にある(徒歩8分の)スーパーまで行くのは面倒だな」という時によく利用している。毎日のように夕食や朝食の準備をしていると「みそがない」「晩酌用の酒がない」といったことが頻繁に発生する。自宅スペースの都合で、それほど多くの食材をストックできないという事情もあり、最低限の食材がそろっているまいばすは、確かに「冷蔵庫」として活用できる存在だ。食品以外では、キッチンペーパーや食器用洗剤といった日常的に使う商品も、かなり充実している。
ネット上では「便利だけど面白みがない」といった意見をよく見かける。SNSでは「まいばすけっとは、都民への罰」という投稿が注目されたこともある。確かに、大手スーパーと比べて過激なセールを実施したり、個性的な総菜を扱ったりといったことはほとんどない。淡々と買い物をする客が多い印象だ。「日々、仕事・家事・育児に追われて、ゆっくり買い物を楽しむ時間もない。そんな生活を送っている自分は“罰”を受けているのだろうか」と考えたこともあったが、とにかく便利なので、リピートしまくっているというのが筆者の実態だ。
このように、筆者のような共働き世帯だけでなく、駅前の大型スーパーに何度も足を運ぶのが難しい高齢者や、最低限の買い物を身近でパパっと済ませたい単身者からも支持を受け、店舗数を増やしているのは納得である。
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