コラム
» 2009年02月13日 09時40分 公開

-コデラ的-Slow-Life-:太陽電池で再生したAuto Half S

Auto Half Sを本来の“スナップカメラ”として再生するするべく、露出計の改造に着手。手間のかかる調整を経てセレン素子を太陽電池に交換することに成功。生まれ変わったAuto Half Sは、思いついた瞬間にスパッと撮れる機動力を手に入れた。

[小寺信良,ITmedia]

 一応マニュアルでは撮れるようになったのだが、やはりこのコンパクトボディという手軽さが生きるのは、思いついた瞬間にスパッと撮れるスナップショットだろう。しばらくは我慢していたのだが、やはりどうしても元通りのコンセプトに再生したくて、露出計の改造に着手することにした。

 元々のセレン素子がダメなので、それを太陽電池に交換するわけである。ただ、部材として交換すればいいというものではないだろう。何せ光量に対しての出力が違うわけだから、なんらかの調整が必要だ。


photo 基板に借り組みして、様子を見る

 そこで太陽電池と可変抵抗を組み合わせたものをカメラから伸ばし、様々な光源に向けて単体の露出計の値と比べながら、絞りの空き具合をテストしていった。文章で書くと簡単だが、実際にはものすごく手間がかかる仕事である。なにせバラバラになったカメラをそーっと持ち出して、あちこちで絞り値を確認するわけだから、落としたら終わりである。


photo オリジナルの抵抗は腐食が始まっていたので、交換した

 そんなこんなをテストしたあと、適正と思われる抵抗値に設定、この基板から抵抗を外してラグ配線化して、本体内に組み込んだ。元々のセレン素子はレンズに回り込むような形だったが、太陽電池はえらく小さいので、向こうが素通しになってしまう。そこで黒のビニールテープをセレン素子の形状に合わせて切り取り、貼り付けた。


photo ビニールテープをセレンの形に切って貼り付ける

 最初の組み込みテストでは若干絞りすぎの傾向を示したため、再度開けて調整し直した。調整だけで2〜3日かかっている。現在は抵抗値も落ち着いたので、可変抵抗を固定抵抗に置き換えてある。

「思いついたらシャッター」の機動力

 実際にスナップカメラとして再生してみると、その機動力には恐るべきものがある。思いついたらシャッターを押すだけでいいし、ハーフなのでフィルム1本突っ込めば、デジカメ並みに撮れる。36枚撮りなんか突っ込んだら、いつ撮り終わるか分からないほど撮れるわけである。

 ファインダを覗くと、中央に黄色い丸が見える。この時はシャッターが降りるが、露出不足になると赤い丸になって、ロックがかかる。オートでは1/125秒だが、上部のダイヤルでマニュアルに切り替えると、シャッタースピード1/30秒のマニュアルカメラとして撮影できる。露出計をいつでも持ち歩いていれば別だが、普通はカンで撮ることになる。基本的には、オートでダメならもう腹を決めて開放で撮るしかない。

 ファインダ自体もやや青みがかっているのだが、撮れる絵もやや寒色だ。当時の標準としては広角の35mm相当だが、小さなレンズの割には歪曲も少なく、なかなか上質である。

photophotophoto タッチは寒色だが、歪曲は少ない(左)1メートルぐらいの距離ならパンフォーカスで撮れる(中央)目にとまったものを適当に撮っていると、まったく記憶にない構図が出てきたりする(右)

 筆者は試したことはないのだが、フィルム巻き上げが速いので、そこそこ連写もできるはずだ。ISO400のフィルムを入れれば絞り目になるので、被写界深度も深く取れる。今でもときどき思い出しては、子供撮りに使っている。下の子は平成15年生まれなのだが、写った写真はフィルムばかりだ。イマドキの子供なのだが、キカイのカメラで撮る写真は、なんだか昭和の子供のように見える。

小寺 信良

photo

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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