スカイラインで大スピン!――クルマの安全技術を学んできた:+D Style News(2/2 ページ)
シートベルトは隙間がないようしっかり締める……どうもそれだけじゃ正しいシートベルトの付け方とはいえないようだ。いまさら聞けない安全技術について「日産 クルマの安全技術体験イベント」で勉強&体験してきた。
もう1人のドライバー“VDC”
シートベルトやチャイルドシートは、ドライバーが意識さえしていれば適切に安全を確保できる。しかし、とっさの急ブレーキやハンドリングによる車の挙動を、何のアシストもなしに抑えようとしたら――相当のテクニックと経験を要求されてしまうだろう。各自動車メーカーはいずれも、一般のドライバーがもしもの際にも安全に車をコントロールできるような制御機能の開発に心血を注いでいる。
最近の車ではおなじみのABS(Antilock Brake System)もその1つ。急ブレーキによりタイヤがロックした場合、車はスリップしてしまい、車体のコントロールや素早い停止が困難になる。これを抑えるには、タイヤのロックを解除するためにブレーキを緩め、また踏み直す“ポンピング・ブレーキ”のテクニックが必要だが、これを自動で行ってくれるのがABSだ。
日産ではこのABSに加え、さまざまなセンサーを駆使して予期せぬ挙動を検知し総合的に車体を制御する技術を“VDC”(Vehicle Dynamic Control)と総称している。今回はその性能を、新型「スカイライン」で体験してきた。
まずはABSのデモから。右のタイヤは凍った路面と同程度の摩擦しかない水浸しのマットの上を、左のタイヤは通常のアスファルトを走行し、急ブレーキをかける。左右の摩擦係数が違うため車体のコントロールは一層困難なはずだが、4輪を個別に制御するため車はまっすぐ進み、止まる。「1つしかないフットブレーキで4輪を別々に制御できないのはもちろんのこと、人力のポンピング・ブレーキでは、ここまで短い距離で止まるのは不可能です」(説明員)。
続いて体験したのは、VDCを駆使した場合とそうでない場合の横滑りの比較。スタッフ運転のもと、水浸しのマットの上を時速20キロ程度で走行し、右から左へとスラローム走行を試みる。VDCをオフにした走行では、ハンドルを右に切ると同時に横滑りが始まり、左に切った瞬間、かん高いエンジン音とともに車が大きくスピンした。
「派手に見せるためにアクセルを踏んだと思うかもしれませんが、そうではありません。あのエンジン音はタイヤが空転したために起こったもので、アクセル自体は緩めているんです」
では、VDCをオンにするとどうなるか。結論から言うと「意図した方向にきちんとスラロームした」のだが、“滑った?”と感じた次の瞬間には、もう車の方向が補正されている――そんな印象の繰り返しだった。ハンドルの舵角と車の挙動とを照らし合わせ、意図した方向に進むよう各タイヤのトラクションなどを制御しているという。
自転車ほどの速度でここまで違いが出てしまうというのが、何よりも驚き。実際はこれ以上の速度で走行する場面が多いわけで、そんな時VDCがオンになっていなかったら……と、考えてしまう。
このほかにも、「スカイライン クーペ」と「GT-R」に採用された歩行者の衝撃緩和装置「ポップアップエンジンフード」のデモや、「アラウンドビューモニター」の体験、さらに飲酒運転根絶の取り組みとして作られたコンセプトカーのデモンストレーションなどを受ける事ができた。こうした同社の安全技術を一度に体験できる一般施設は残念ながらないとのことだが、体験して“目からウロコ”が落ちてしまった筆者としては、ドライバーの安全意識を広める手段の1つとして、こうした機会が増えることを願いたい。個々の体感マシンはタイヤメーカーなどのイベントを始め、さまざまな企画に使われているそうなので、見つけた方にはぜひ試してほしい。
歩行者の衝撃緩和装置「ポップアップエンジンフード」。エンジンとエンジンフードの間に十分な隙間がないと、歩行者の頭部が硬いエンジンにぶつかってしまうが、隙間を作ると今度はスタイリングに影響してしまう。そこで、人との衝突を感知して、エンジンカバーが瞬時にせり上がり十分な隙間を確保する同機能を採用。デザイン性を犠牲にせず必要な安全性を確保した
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