第12回 明るい望遠ズームで楽しむ冬のスカイツリー――パナソニック「LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8」:デジタル一眼レンズの楽しみ(2/2 ページ)
スカイツリーは、とにかく高さがあって目立つ存在。それを被写体としてどう料理するか。今回はマイクロフォーサーズ用の小さくて軽い望遠ズームを持って、冬のスカイツリー撮影に挑みます。
太陽光線を意識しながら川沿いを巡ろう
隅田川にかかる橋との組み合わせはスカイツリー撮影の定番のひとつ。下の2枚の写真は、1枚目が厩橋で、2枚目が駒形橋です。橋の一部分を切り取るような構図で捉え、鋼鉄の素材感と重厚感、重なりから生まれる造形を強調しています。
次の写真は吾妻橋のたもとから、墨田区役所と並べて撮ったもの。どちらの建物も、子どものころに夢見た未来都市のようなデザインです。近景に花壇の花を写し込むと、なんだかオモチャのブロックのようにも見えます。特にエフェクトを加えているわけではありません。
さらに北上し、次の2枚は千住汐入大橋の付近で撮ったものです。このあたりは、スカイツリーからほぼ真北に位置するため、冬場の日中は逆光によって川面がキラキラと輝き、その背後にヌッと現れたようにそびえ立つスカイツリーが拝めます。訪れた日はちょうどバランスよく雲がかかり、ふだんは単調になりがちな空に変化を与えてくれました。
次は、汐入公園内にある汐入タワーの内部から撮影したもの。タワーといっても高さ約10メートルのこぢんまりとした木造建築です。ここでは一歩引いた構図を選び、窓からのぞいたスカイツリーを影絵のように切り取ってみました。こうして見ると、注射器のようなフォルムが浮かび上がります。高さを強引に高くしたデザインには賛否があるようですが、シンボリックな被写体としては悪くないと思います。なお、この場所では、外に出て木造タワーと最先端ツリーを対比させるような構図で捉えるのも面白いでしょう。
最後は、荒川の河川敷まで足を延ばし、スカイツリーに重なる太陽を狙ってみました。下の写真を撮ったのは午後3時40分。そして、川に沿って撮影場所を少しずつ南東へと移動し、午後4時2分に撮ったのが冒頭に掲載した夕日の写真です。色合いは、下の写真ではホワイトバランスを「電球」にして青っぽい色にし、冒頭の写真では「日陰」を選択して赤みを強調しています。
以上、朝11時からスタートして約5時間、飽きることなくスカイツリー撮影を満喫できました。今回紹介した撮り方や撮影場所はほんのひとつの例にすぎません。標準ズームや広角ズームを使って、より近い位置から狙ったり、あるいはさらに望遠のズームでより離れた位置から撮るのもいいでしょう。みなさんも自分なりのアプローチでスカイツリー撮影を楽しんでみてください。
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