第8回 標準レンズで楽しむ巨大建造物めぐり――シグマ「30mm F2.8 EX DN」:デジタル一眼レンズの楽しみ
シグマ「30mm F2.8 EX DN」は、ミラーレスカメラ用の標準単焦点レンズです。比較的リーズナブルな価格ながら、写りは良好で携帯性も十分。このレンズを持って千葉から茨城にかけてのシュールな異空間をめぐってきました。
明るさと携帯性の適度なバランス
ミラーレスカメラの人気を受け、最近ではサードパーティの光学メーカーからもミラーレス用の交換レンズが徐々に登場し始めてきました。今春発売されたシグマ「30mm F2.8 EX DN」もそんなサードパーティ製レンズのひとつ。「SIGMA DN Lens」シリーズの第一弾となる、小さくて軽い単焦点の標準レンズです。
対応マウントは、マイクロフォーサーズシステム用とEマウントシステム用の2種類が用意。マイクロフォーサーズ用では60ミリ相当、Eマウント用では45ミリ相当の焦点距離を得られます。
外装はツヤ消しブラックの樹脂素材で、マウント部には金属を採用。ズームや手ぶれ補正のないシンプルなレンズということもあり、外観のデザインは至って素朴。前面および鏡胴部には、小さな文字で製品名が記されていますが、それ以外に無駄な飾りっ気は何もありません。
今回は、マイクロフォーサーズ用とEマウント用の2本を用意し、オリンパス「OM-D E-M5」とソニー「NEX-7」にそれぞれを装着して試用しました。どちらもほぼ無音でスピーディに作動するAF性能を確認。マニュアルフォーカスについても、フォーカスリングに適度なトルクがあり、感触はまずまずです。
写りは、絞り開放値から良好な解像力を誇ります。7枚羽根の円形絞りが生み出す、ソフトなボケも魅力です。F2.8という開放値は、圧倒的に明るいというほどではありませんが、適度な明るさと携帯性のよさをバランスよく両立させたレンズといえます。
重金属の質感をリアルに再現
この「30mm F2.8 EX DN」を持って、千葉から茨城方面にかけて、日帰り旅行に行ってきました。まず訪れたのは、千葉県芝山町の航空科学博物館。ジャンボ機をはじめ引退した航空機の実物や大型モックアップを間近にみられる、航空ファンにはおなじみのスポットです。
1枚目の写真は、敷地内にデーンと設置されたボーイング747の実物展示。頭の部分だけが切り取られ、巨大マンボウのような不思議な姿になっています。ちなみに、胴体部分はここにはなく、元あったアメリカの砂漠に置いてきたそうです。そっちも見てみたいものです。
この博物館には、ほかにも軽飛行機やプロペラ機、ヘリコプターなど約20の機体が展示。その多くは内部まで見学でき、パイロットや整備士になった気分を味わえます。2枚目の写真は、セスナ機の尾翼をシルエットでとらえたもの。成田空港からほど近い場所にあるため、頭上には現役の飛行機がひんぱんに飛び交っています。つまり、実機に触れると同時に、リアルなエンジン音と振動も体感できるというわけ。私自身、特に航空ファンではありませんが、ここを訪れ、その気持ちが少し分かる気がしました。
続いて、北東に向かって約50キロ移動し、鹿島宇宙技術センターをたずねました。飛行機の次は宇宙という、その筋のマニアには鉄板の見学コースです。といっても、ロケットや人工衛星が見られるわけではありません。ここの目玉は、直径34メートルのお椀のようなパラボラアンテナです。
その巨大なたたずまいは壮観で、住宅街の真ん中に突如現れた秘密基地といった様相を呈しています。花畑ごしに眺めると、非日常的なイメージが際立ちます。もちろん付近に住んでいる人にとっては、これが日常の風景でしょう。宇宙を感じる素敵な光景です。
さらに隣の神栖市まで足を延ばし、波崎ウィンドファームを見てきました。鹿島臨海工業地帯の工場群を背景に、風力発電用の風車が延々と立ち並ぶ海岸です。海沿いはあまり整備されておらず、美しい砂浜とはいえません。しかし、その廃墟のような景観が、かえって撮影意欲をそそります。SF映画で見た、別の惑星に降り立ったようなイメージです。
そして、この日の最後のショットは、鹿島臨海工業地帯の夜景です。鹿島まで来たら、やはり工場は欠かせません。ダイナミックな造形美は昼間でも見応え十分ですが、艶やかで妖しい光を放つ夜のプラント群は、工場ファンならずとも一見の価値があります。
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